今日は4月1日
とある世界ではエイプリルフールと呼ばれ、どんな嘘を吐いても許される日との事だ
ああ、まかり間違ってもこの世界の事じゃあないからな?
この世界はそうだな・・・
風呂に入る事を強制させられ、且つその光景を堂々と中継される
正直ロマンの欠片も無い様な一般常識だ
景火「ふっ、ロマン以前の問題だがな」
ステラ「?、何か言った?」
景火「いや何でも無いさ。それよりこの温泉施設、混浴だとは知らなかったぞ」
お湯の入った桶を片手に後ろを振り返る
海側に面した大浴場もとい大露天風呂
海面と空の境界が無いかの様に見せる為に一部の壁が取り払われている
さて混浴だと今し方言った訳だが、それは詰まる所男が居る訳だ
まあ、当然の結論だろう
問題はそこに居るのが完全に顔見知りという点だ
バーズ「やあ、ケイカ。君も来ていたんだね」
景火「何故お前がここに居る、というより何故お前の隣にソイツが居る?」
バーズ「何でって・・・僕の奥さんだからに決まってるじゃないか」
バーズは何を今更な事をという風に言う
流石にそこで簡単に納得する私じゃない
如何考えてもおかしいのは誰にだって分かる
景火「その女は本編の外で実父に犯された筈だろう?お前が介入する隙間なんて無かった筈なんだが・・・」
言いながら頭の中の情報を確認する
うん、間違い無い。私は何ら間違ってない
ミネア「それは正常な世界での場合ですよ」
景火「は?」
ミネア「この話はあくまで泡沫の物語、1日しか期限の無い物。正常な世界の理は通用しないんですよ?」
景火「つまり完全に妄想って事か。本編と違うルートを通ったパラレルワールド、と」
バーズ「その通り。この変に狂った世界は4月1日にしか現れない、そう宿命付けられているんだよ」
ステラ「成程、神様の暇潰し・・・いえ、素敵な企画といった所かしら」
ステラはそう言うと朗らかに笑いながら肯定する
彼女のこの反応も何時もと違う
変に聞き訳が良いというか、何の疑いも無く全面的に受け入れているというか
兎に角色んな意味で改変されている
景火「ふぅ、馬鹿げた設定の割に真面目に説明が入る点は違和感しか感じないな。というより全然ロマンを感じない」
バーズ「あ、因みにこの前子供が生まれたんだ」
景火「お前のアレは戦場に落として来た筈じゃ・・・・・・ってソレも改変されてるのか」
ああ、くそ、調子が狂う
早くこの狂った1日が終わって欲しいものだ
終わり