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いつからこんな事になったのか

自分でも覚えていない

親父が死んでから何週間か経った時

あの仕込み刀を蔵で見付けたんだ

手に取った時に解った

これは人が持ってはいけない物だと

その日から俺は変わってしまった

 

【六魂清浄】

 

意識が戻る

どれだけの時間こうしていたのか

起き上がると未だ二人は対峙していた

門下生の一人に話を聞く

 

「別に何も無かったよ?椚君と朱里君とソウマさんでコントならしてたけど」

 

椚&朱里「してねーよ!」

 

白帝「何だかよく分かりませんが、先程から変化は無いんですね」

 

「うん、してないよ。全然動かないし・・・」

 

白帝「多分、それは斬りかかるタイミングをはかっているのでしょう」

 

蒼麻「・・・・・・」

 

我最「(コイツ、隙が無さ過ぎる・・・)」

 

ここで真実を明かそう

二人は対峙していた

白帝が気を失い起きるまでの間ずっと

その間蒼麻が声を発したのは先のコントだけである

ここに居る全員が蒼麻はタイミングを見ているのだと思っている

が、蒼麻はそういう事はあまりしない

―――故に

 

蒼麻「・・・・・・ぐぅ・・・」

 

寝ていた

 

我最「・・・・・・コイツっ!!」

 

横薙ぎ

怒りの一撃は空を切る

起きたからである

 

蒼麻「ふっ、寝たと見せ掛けてお前の内を探っていたのさ」

 

椚「嘘くせえ」

 

蒼麻「だがこれで解ったぜ。我最強也、お前は操られてる・・・その剣にな!!」

 

ビシィっと剣目掛けて指を差す

一瞬白帝は解らなかった

師匠は何を言っているのか

剣が人を操るなんてそんな馬鹿な事がある筈が

そう考えた

その疑問に答えたのは・・・

 

我最?「クハハハハッ、よーく分かったなぁ!そうさ、俺直々に操ってたのさぁ!!」

 

蒼麻「すぐには分かんなかったよ。全く隙間が無いからな」

 

我最?「当然だ、この宿主は欲が強かったからな!簡単至極に乗っ取れたぜ」

 

そう言って木刀から完全に真剣を抜き出す

その刀身は黒く濁っている

いわゆる妖刀の類である

よく知られた伝説では京の街を火の海にしたと云われている

それ程までに妖刀という物は怨念が溜まり易い

 

蒼麻「その禍々しい色、見た事があるぞ。お前、霊峰と樹海の境界に安置されてた奴だな。確か名は蠱毒丸」

 

蠱毒丸「運良く人間共が見付けてくれてなぁ!今の俺があるってこったぁ!!」

 

蒼麻「技術の発展故の代償か・・・」

 

蠱毒丸「正体が分かった所でさっさと終わりにしようぜぇ?!」

 

蒼麻「望む所だ」

 

 

「六巻」

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