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ドロドロの沼から這い上がった様な感覚だった

これは自分だけの力じゃない

引き上げてくれた人が居た

俺は今までの罪を悔い改め

その人を目指したいと思った

 

【七転抜刀】

 

二人は剣を構える

片や真剣

片や竹刀

得物のランクでいえば真剣の方が上である

いや、事実を言えば竹刀が勝てる確率は無いに等しい

道場の板が軋む音がした

それを合図に同時に踏み込む

蠱毒丸は全ての力を使い左からの横薙ぎ

一方の蒼麻は下段の構えからの逆袈裟切り

 

白帝「師匠、それは・・・!?」

 

白帝はこの時蒼麻が負けると思った

只でさえ下段の構えは防御の型とも呼ばれるリスクの高いもの

しかも横薙ぎの対処法として

かなり不安であったからである

横から来る攻撃に対応する際

同じく横からの斬撃

又は上から打ち落とす方法が一般的だからであった

剣が落ちる音がした

 

蠱毒丸「ガハッ・・・馬鹿な、この俺が、こんなヤツに負ける等・・・!?」

 

蒼麻「足の運びから技の完成度まで完璧だった。だが心までは乗っ取れなかったようだな」

 

蠱毒丸「心、だと?そうか・・・宿主め、最後の最後まで抗い続けやがって・・・」

 

刀身に亀裂が走る

そして粉々に砕けた

蠱毒丸の呪縛から解き放たれた我最の体は

重力に身を任せ倒れる

これで死合いは終わり

忌まわしき妖刀の歴史も終わりである

 

 

「七巻」

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