大晦日。遂にこの日がやって来てしまった
・・・まあ、別にこれといって変な事や事件が起きたりする訳ではないのだが
蒼麻「いや・・・今までだって何か起きていた。今回だけ何も無しなんて事はありえn」
ドーン!
何処かで爆発音がした
というより、思いっ切りデカい火柱が上がった
蒼麻「知ってた。うん、知ってたんだ」
赤「正直大晦日は気が抜けん」
いつのまにか横にズタボロの赤が立っていた
開けた口からは黒煙が立ち昇り、髪はアフロ一歩手前だった
浅黒い肌が爆発により更に黒くなっているが、肉体再生の効果により然して問題は無い
蒼麻「一応聞いとくけど何があった?」
赤「・・・虎が居ただろ?」
蒼麻「雑木林のか?確か前に技の実験台に使った筈だろ、他でもないお前が」
赤「去年蔵の中から瘴気が出ただろ。あれから瘴気はピタリと止んだんだが、風で流れた分が雑木林の方に行ったみたいなんだ」
蒼麻「・・・・・・結末が分かりそうな気もするが、万が一もあるし言ってくれるか」
赤「変異してたぞ。鉛の毛皮と毒の爪、口から炎も吐いてきた」
想像するとかなり変な方向に変異したものだ
しかし炎は分かるが先刻の爆発は一体どういう事か
???「うむ、何の考えも無しに羽根をぶつけるものではない」
突然現れた黒色の物体一号
よく見ると無数の黒い羽根を腕やら背中やらから生やした女性だった
そしてその顔は凄く見覚えがある
蒼麻「うん、アンタの羽根って液体爆薬染み込んでるから、着火したら当然爆発するよね。やめてね」
???「うむ、だが件の虎は危険度が高そうだった。何事も後手に回るのが正しい事とは思えんからな」
赤「こっちはそのお陰で爆発に巻き込まれた訳だが」
???「お前達は肉体再生能力を持ち合わせているのだから、この程度ではどうという事は無いだろう?」
赤「まあ、そうなんだが・・・当事者に言われると得も言われぬ感情が沸々とな・・・」
それは十中八九怒りだと思われる
蒼麻「で、どうするよ?お前等どっちも火の手を上げる方なんだが」
???「お手上げだな。これ以上爆発を起こそうものなら雑木林一体が焼け野原になりそうだ」
赤「ウチの敷地をこれ以上特異な環境にしたくないしな」
ただでさえ雑木林に虎が居る時点でおかしな事なのだ
それ以外にも聖剣やら魔剣やら呪物の類やらが雑多に転がってたりする
ともすれば特A級次元犯罪者である白槌がしれっと通っていたり、魔刀に寄生されていたとはいえ一時期テロリストの片棒を担いでいた侍が半ば道場の師範代に納まっていたりと色々とおかしいのだ
これ以上酷くならないでくれと思うのは尤もである
そんなウンウン唸る三人の所に嘆きがやって来た
嘆き「主の主も赤さんもこんな所で何を・・・あれ、レヴお姉ちゃん来てたんだ」
レーヴン「ああ、ノエルティアか。丁度いい、お前も一緒に打開策を考えようじゃないか」
ノエルティアとは嘆きも忘れてしまっている本当の名前らしい
らしいというのは、初めに言ったのがレーヴンであるからだ
ちなみにレーヴンは昔の記事でチラッと出て来た黒剣七姉妹の元長女である
元というのはどういう事なんだと言われそうだが、過去に姉妹が事故に遭った際に即死してしまったのだから仕方無い
取り敢えずこれだけは言える。はぐれデバイス凄え
話を元に戻そう
嘆き「打開策、というと先程の爆発の事ですか?」
レーヴン「うむ、雑木林に生息する虎が瘴気にやられて変異してしまったのだ。我と赤殿は火に対して相性が悪いので、蒼麻殿とノエルティアが協力して仕留めるのが良いのではないかと私は思うのだが」
嘆き「それなら我が主が討伐に向かいましたが」
ピーヒョロロ
四人の頭上を鳥が横切った
蒼麻「いや、ん・・・えっと、まあ、白帝ならいける、か?」
赤「しっかりしろ、お前の弟子だろ」
蒼麻「とはいっても、最近稽古つけてやってねえし」
白帝「師匠。雑木林の虎型変異種、大事無く無事殲滅しました」
ピーヒョロロ
あ、二羽目が来た
蒼麻「・・・手際いいなお前、大成しそうだ」
赤「一応剣神の娘だしな」
レーヴン「ふむ、虎の美味い食べ方はなんだろうか」
赤「焼きも揚げもイケるとは聞くが・・・流石にやめておいた方がいいんじゃないか?」
蒼麻「腹壊しても知らんぞ」
終わり