年が明けた
そしていつもの大爆発
この神社呪われてるんじゃないか?神社なのに
蒼麻「唐突過ぎて高橋留○子風に吹っ飛んでしまった」
白帝「うぅ、爆発に対する特訓が足りませんでした」
藍「お正月の芸人番組かな?」
赤「すまん、今回は只々すまん。こればかりはオレの落ち度だ」
赤は爆心地に降って来た巨石にドカッと腰掛けて深々と頭を下げた
謝罪すんなら立てよと思ったが、爆心地の中心に居たのがヤツなので仕方無いか
というか炎天光守発動してたのはチラッと見えたけど、それでも防ぎきれなかったのが驚きなんだが
蒼麻「・・・ん?炎天光守張ってダメージ喰らってるって事は、防御貫通してるって事だから・・・」
赤「ゴランティスが、来る・・・!」
蒼麻「え、なに、アイツこの国侵略でもすんの?地図書き換わっちゃうよ?」
白帝「あの、ゴランティスというのは・・・人外、なのですか?」
藍「字面的にはゴリアテに似た巨大な兵器っぽい」
蒼麻は何と説明しようか首を捻ったりウンウン唸ったりしている
あまりにも悩んでいるので藍は小声で赤に聞いてみた
藍「そんなに悩む事なの?」
赤「人外に関する情報は極力公表してはいけないんだ。誰だって弱点は晒したくないだろう?」
藍「え、弱点判明してるの?」
赤「ヤツの場合は見ればすぐ判るが、人外は世界規模で敵を多く作っている。研究されていないという事は絶対ではないんだ」
白帝「私のサークルによく来る人は正体を隠していると仰ってましたね」
赤「基本的に敵は人間だからな、種族や能力が表沙汰になっていなければ無問題だ。それはそうと・・・コミケにも人外が来るのか」
白帝「はい。彼女も確か『みっしんぐ☆あ~むず♪』というサークル主さんですし」
赤「ミッシ・・・何処かで聞いた様な気がする名前だな」
藍「主従反転モノのwebエロ漫画描いてるサイトみたいだね」
藍がいつの間にかスマホ片手に調べていた
現代っ子め、フリック入力を完璧に使いこなしていやがる
ちなみに彼女は半分だけ人外なのでDCTは持ってない
蒼麻「よし、その時はその時だ。後でどうにかしよう!」
長い事悩んでおいて最終的にソレかい
ただ蒼麻のどうにかしようは大体ホントにどうにかするのでそんなに不安に駆られる事は無い
蒼麻「お前達よく聴け、ゴランティスというのは大量に爆弾を降らせて来る超迷惑な人外だ!」
藍「ここまで勿体ぶっといて結構杜撰な説明!?」
赤「まあ、間違ってはいないな」
藍「そして何も間違ってなかった!?」
白帝「爆弾ですか?」
蒼麻「サラド=アジスタって規格外居るだろ?アレの弟子って言われてる」
白帝「黄砂郷を一夜の内に更地にしたといわれる《暴爆の雨》の、ですか。それは・・・あまり相対したくない相手ですね」
ちなみに黄砂郷とはタクラマカン砂漠にあったとされる街の名である
現実でいう所のクロライナ、というより楼蘭だね
蒼麻「というか、アイツどうやって此処に来る気だ?ほぼ砂漠に居る筈だろ」
赤「それはやっぱり飛んで来るんじゃないか?上空から爆弾の雨を降らせる奴だし」
蒼麻「領空侵犯になるだろ。怪獣映画でいう所の過剰防衛の対象だぞ」
白帝「此処は弐本の飛び島ですし、防衛という点で政府に申請出来ませんかね?」
蒼麻「今の弐本政府上層部の顔触れ知ってるか?特に防衛大臣の等々力って奴が一番ヤバいが、揃いも揃って人外迫害主義者だからな。多分こっちの頼みは端から聞く気無えぞ」
防衛大臣の等々力豪馬
外務大臣の蔵ヶ内正宗
国務大臣の香具師林築
この三者、揃いも揃って人外が大っ嫌いなのである
外国で人外を一人でも見ようものなら、外交問題とか考えずに即核落とそうとか発言するレベルの毛嫌いぶり
天神町を含む四つの街は天星神の息がかかっているので一応落とす場所からは除外される
が、本人達からすればあわよくば一緒に消し炭になって欲しいと思われていたりする
ちなみにこの国家機密の様な情報は人外達には割と筒抜けである
人外の情報網舐めんな
藍「・・・そういえばさ、そのゴランティスっていうのは何処を根城にしてる人外なのさ?」
蒼麻「大体イヴォーグ砂漠辺りに居るんだっけかな?」
赤「ここ数年は少し聖耀寄りになったらしいぞ。あの辺エピテンクルスの回遊コースと被るらしくて」
蒼麻「ああ、《砂》とはかち合いたくないよな。まあ眷属と認められてないらしいけど」
藍「イヴォーグって事は先に中翁帝国の上空通るんじゃないかな」
イヴォーグ砂漠は現実でいう所のゴビ砂漠なので、直線距離で考えるならば確かに中翁帝国の上を通らざるを得ない
赤「その手があったか」
蒼麻「え、中翁帝国に相手させんの?無理だろ、大量爆撃で帝国完全崩壊の未来しか見えない」
赤「中翁には古株の人外が居るだろ、彼女にやって貰えばいい」
蒼麻「・・・・・・お前もしかして火紗さんに倒して貰おうと思ってるのか?!やめろよ、あの人お前が思ってるより割とヤバいんだから!!」
白帝「カシャ?妖怪の方ですか?」
蒼麻「当たらずと雖(いえど)も遠からずだ。先代の妖魔王やってた人でな・・・魔剣を持ってるんだよ」
蒼麻はとてもげんなりとした表情で言葉を絞り出した
さも実際に見た事があるかの様に
白帝「いつかの青山羊の様なモノを、ですか」
蒼麻「青山羊よか序列は低いがな。蛇腹剣ってあるだろ?アレの伸縮距離が対流圏まで届くって言やあ何となく解るか?」
藍「確か大気の層の中でも一番下だっけ。それでも地上から10km前後はあった気がするけど」
蒼麻「だからな愛しい弟よ、彼女に後始末を任せ無事にソレが終わったとしてもだ。お前は決して用心を忘れず全周警戒をしなければならない」
赤「いや、だが、オレはまだ案として提示しただけで」
蒼麻「言っただろ、先代の妖魔王だったって。妖魔のテリトリーは全世界の何処にでもあるんだぜ、耳に入るのは時間の問題だよ」
赤は追い込まれ過ぎて言葉にもならない声を出しながら天を仰いだ
残念ながら空は物凄く澄み渡っていて今の心境を嘲笑っているかの様である
果たして数刻後中翁の上空にて正体不明の飛翔物体が、これまた高速で迫って来た正体不明の物体にズタボロにされる訳だが
当の案を出した赤はせめて二次被害を出さない様にと雑木林の方に篭り、いつ飛んで来るか分からない魔剣に内心ビクビクしつつ炎天光守を張っていたとさ
そして結局魔剣などには全く効かず無慈悲にもパリンと炎天光守を割られ、四十数回に及ぶ連続死亡と相成った
しかも地平の彼方から飛んで来る所かまさかの本人登場で阿鼻叫喚の地獄絵図だったとか
更にパニックから間違って出してしまった炎燼匣が彼女を捕らえ切る前に魔剣によって弾かれ、まさかの自分を捕らえるという大失態を演じたらしい
本日の教訓:魔剣持ちには逆らわない、軽い気持ちで後始末を他者に押し付けない
終わる
どうも、作者の雪ウサギです。
2019年版となっておりますが書き上げたのは年末だったりします。
ネタが出て来る度に文章を追加したり消したりまた追加したり丸っと再構築したりとしてたので、かなり完成に時間が掛かってしまいました。
一番時間が掛かったのは三大臣の名前なんですけどね。
取り敢えずフルネームで出しておけばキャラ辞典には組み込めるので。
結果的にとんでもない外道が三人出来上がってしまいましたが、実は弐本に居る官僚はその9.9割が差別主義者だったりします。
なんか突然変異でたまーに博愛精神に溢れる奴が居たりしますが、でも弐本人は大体そんな感じで性根から腐ってるというか、そもそも教育の面で幼少時から(近年はかなり意図的)に歪ませてるんですよね。
特に弐本は過剰なまでの人間至上主義国家(独立宗教国家ランバダに次ぐ異常性)なので、人外は生命を脅かす者(間違ってはいない)で起源が同じ能力者に対しても徹底的に排斥する傾向にあります。
ただし、最小限の犠牲も必要との考えも根底にあるので人外に捕まった者は基本的に見捨てられます。最初から居なかったものとされます。無事に帰って来たら喜びますが表面上そう見繕ってるだけです。
まあその辺りの詳しい事情は『草壁団地』とか『弐本』の項目を参照して下さい。ここでは尺が足りません。
ちなみにその思想を逆手に取って『蒼黒神社・外伝4』で行われた事がアレになります。
ところで2020年あけおめことよろ。
災星戦争の年になってしまいましたが特に専用小説を書くつもりはないんじゃよ。戦闘シーンは書くの苦手だし。