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【その7】

 

本体を失った竜が吼える

のた打ち回るというのはまさにこういう事だろうか?

空中でクネクネとまるで陸に上がった魚の様に

 

竜(外側)「グギャルルルガアアアアァァァァァァ!!!!!」

 

ミラ「ちょっと・・・何だか嫌な予感がするのだけれど?」

 

ミナ「これは十中八九お約束の爆発とかかな~」

 

ミラ「のんきに言ってる場合じゃないでしょう!ほら、早く逃げるわよ!!」

 

それでもミナは動かない

その横顔は真剣

真正面から竜だったモノを見詰めこう言った

 

ミナ「ミラは逃げて。私はここに残るよ」

 

ミラ「な・・・貴女ね、このまま此処に居ても何にもならないでしょうが!?」

 

ミナ「うん、でもさっきまで生きて動いていた者を残して行けないよ。私はそこまで器用じゃないから」

 

何かを犠牲に助かるなんてそんな事は嫌だ

そんな事をしても後悔だけが残るだけ

そうミナは言いたいのだ

 

ミラ「・・・はぁ、そんなの今に始まった事じゃないでしょうに。仕方無いわね、私も残ってあげるわ、感謝しなさいよ」

 

ミナ「うわ、ミラが優しい!?」

 

ミラ「繋がり、絶つわよ?」

 

ミナ「冗談だって~・・・・・・にしても、コレ如何する?」

 

ミラ「そうね・・・」

 

再び竜だったモノを見る

相も変わらず絶賛のた打ち回り中

しかしこの大きさだ

空との繋がりを絶とうが

翼と胴体の繋がりを絶とうが

どの道ミラ達は潰れる

 

「困った時は従者に頼れば良いのですよ」

 

一閃が竜の右前足を両断した

それは髑髏の騎士・グラム

 

「そうそう、貴女は私達のたった一人の友であって娘でもあるんだから」

 

超極細のワイヤーが竜の尻尾を細切れにする

それは狂わしき極師・リベリア

 

バテレイト夫妻ここに見参である

何故分かったのかって?

そりゃあこんなデカいの、見えない訳が無い

見た瞬間リベリアは飲んでいた紅茶を噴き出したという

 

その8に続く

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