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吐く息が白い

全身を冷たい風が通り過ぎる

見渡す限り銀世界

景色全てを白く染める雪原

 

ソフィア「何時から分かっていたの」

 

ミラ「最初から、かしらね。貴女嘘を吐く時に前髪を掻き分けるの知ってた?」

 

そういった癖は中々分からない

人に指摘されて初めて分かる時がある

今回もそうだったという話

 

カサエル「おやおや、天獄の姫がこの様な所に何の御用で?」

 

ミラ「あら、ブラックリッド卿。貴方こそ何の用でこんな辺鄙(へんぴ)な所に居るのかしら?」

 

ソフィア「ブラックリッド卿は何も関係無いわ」

 

ミラ「貴女には聞いていないわ。ブラックリッド卿・・・いいえ、黒鳴艦と呼べばいいかしら?」

 

黒鳴艦「そこまで知られているのなら、これ以上隠せませぬな。・・・・・・殺れ」

 

指を鳴らした途端

何処に居たのかスノーヴァンプが大勢飛び出してきた

その目は赤く、まさに操られているかの様

 

ミラ「グラム!」

 

グラム「仰せのままに・・・・・・はあっ!」

 

横薙ぎに振りかぶったソレは

スノーヴァンプと周りの木々を巻き込む

 

グラム「安心せよ、この大太刀は血は吸わん。故に活骨刀・至水」

 

黒鳴艦「懐刀を持ってくるとは・・・本気で私を殺すつもりの様だな」

 

グラム「言った筈だ、この刀は血は吸わん」

 

ミラ「貴方は少し獄中で頭を冷やすといいわ」

 

黒鳴艦「雪血華!何を呆っとしている!!」

 

それでもソフィアは俯いている

その表情は計り知れない

 

黒鳴艦「天獄の姫を憎んでいる。あの言葉は偽りか!?さあ、今こそ奴等に制裁を・・・・・・ごぶっ」

 

ソフィア「・・・ええ、偽りよ。真っ赤な嘘とも言うわね」

 

黒鳴艦「貴、様・・・」

 

ソフィア「少し考えれば分かる事よ。私は決して我が家の事では動かない」

 

ミラ「まったく・・・自己中なんだから。貴女の悪い癖よ、そろそろ治しなさい」

 

ソフィア「アンタのそういうトコも悪い癖だと思うわ」

 

黒鳴艦「まだだ・・・まだ私にはこいつ等が残っている!さあ、殺せ!!」

 

指を鳴らす

先程とは違うスノーヴァンプが飛び出してくる

黒鳴艦は勝利を確信し表情を歪ませる

その光景を見たソフィアはしかし

ただ静かに笑った

 

スノーヴァンプ「グアアアアアアアアアッ!!」

 

スノーヴァンプの大群が

黒鳴艦目掛けて群がる

 

黒鳴艦「な、何故だ!?私の力はまだ残って・・・や、やめろ!やめろおおおおおおおっ!!」

 

ソフィア「スノーヴァンプは一日で抗体を作るのを知らなかったのかねぇ」

 

ミラ「そりゃあ知らないでしょ。会合にしか来ない奴だもの」

 

グラム「ふむ、合掌とでも言っておこう」

 

後に残ったのは黒鳴艦だったモノと

大量の血溜まりだけ

事の真相であるが

廻廊としての権力を使った国の転覆

それを察知したソフィアの猿芝居

要はそういう事である

まあ、何時の世も悪は痛い目を見るという事か

 

ソフィア「どうせだしお茶していかない?」

 

ミラ「それならカモミールティーを頂けるかしら?」

 

ソフィア「あ、ごめん、今切れてる」

 

ミラ「使えないわねぇ」

 

ソフィア「ケンカ売ってるんなら買うけど?」

 

ミラ「あら、それじゃあ久し振りにやりましょうか?」

 

「「ウフフフフ」」

 

グラム「・・・・・・」

 

後に残ったのは居心地の悪い髑髏の騎士だけである

 

 

第十骨

「似た者同士」

 

EDテーマ

イメージ:Chosen soldier(仮面ライダーTHE NEXTのEDテーマ)

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