「があっ!?」
「ひ、ひえぇ!!」
「こんな、ところで・・・ごぶふっ!」
次々に倒れ込むのを見てから短く息を吐く
張り詰めていた空気が若干薄れる
オド「ふぅ・・・これで此処の魔動猟兵はあらかた倒したな」
しかし、と思う
最近のこの国の情勢は如何なっているのかと
魔動猟兵なんていう代物が出回り
今まで見向きもされなかった小組織が
我が物顔で表の世界に出現した
オド「何かが起こっているのは確か。・・・一体何が?」
それは今から分かる事
これから分かる事
心配しなくてもすぐに分かるよ
オド「誰だ?!」
凛とした、とも言い切れないが
静かな声が響いた
目の前の暗がりからコツ、コツという音がする
まだ潜んでいたか・・・
ケイオス「失礼、まだ名前を言ってなかったね。私はケイオス」
オド「ケイ、オス?・・・空白の主が何故此処に。いや、それよりもこの二十年何処で何をしていた!」
ケイオス「いきなりの質問攻めか。その問いに答える気は無いよ、私にはやるべき事があるからね」
オド「今すぐ廻廊に戻って頂きたい。貴方には廻廊を纏める責任がある」
ケイオス「邪心聖母が居ると聞いたが?」
オド「確かに彼女は廻廊の最高位、上に立つ者としての素質はある。だが貴方の地位は極高位、彼女よりも貴方の方が適任だ」
二人の間に沈黙が訪れる
数拍置いてからケイオスは言った
ケイオス「君は少々強引だな。・・・いいだろう、廻廊に戻る事にしよう」
オド「恩に着ます」
ケイオス「(廻廊に居たって誰も邪魔は出来ないしね)」
内側は外側の外
外側は内側の外
一緒に見えるけど
それはほんの些細な誤解
外側なんてただのハリボテ
大事なのは中身さ
そう、中身が無くなれば
どんな物だって容易に崩せる
第十八骨
「ケイオス」
完
EDテーマ
イメージ:装甲悪鬼村正(PVで流れている曲)
鬼に逢うては鬼を斬り、仏に逢うては仏を斬る
本物を知れば偽者を演じ、本物に逢うては本物を斬る
偽演は続けど真実は不明、それを知るは本物のみ
隠し通した事柄は
自分で言えば一番正解なのに
何故だか他人がバラした
知られている事に驚きはしない
知られてしまった事に胸が痛む