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コルネリアさんの運転する白塗りの車に乗って屋敷に帰る途中
ソフィアは先程の事を訊かれていた

 

ソフィー「雨巫女っていうのは、雲の眷属である天雲の一族の中でも特に力のある女性の事なんだ」

 

フィーナ「ミコ・・・というのが如何いうものを指すのか私には分からないわ」

 

後から聞いた話によればトウマの国に寺社仏閣は無いらしい
それこそ宗教はあるけど仏教とかキリスト教なんて物は存在しないし、そんな名前すら聞いた事は無いと言われた
南無連府という組織はあるみたいだけど、妖怪とか精霊とかが所属しているだけで、南無という言葉も北にあるレムリア連合に対抗して付いているという話みたいだ

 

ソフィー「そうだね、簡単に言うと神様の言葉を聴いてそれを皆に伝える役目の人かな?トウマの国でいう所の・・・えっと、妖精境会とかかな」

 

フィーナ「ああ、妖精王オベロンを信仰する例の・・・」

 

信仰対象までは知らなかった
駅に降り立った時にホームにそんな感じのポスターが貼ってあったから印象に残っていただけなのだ
それにしても妖精王オベロンか。やっぱり奥さんはティタニアって名前なのかな?
変な所で酷似性を見付けちゃったよ

 

フィーナ「なら貴女は神様の声が聞こえるという訳?・・・そんな物本当に居るの?」

 

ソフィー「違う違う、雨巫女は神様の力をその身に宿しているだけなんだ。それに神様なんて見た事も無いよ」

 

フィーナ「あら、そうなの?」

 

ソフィー「うん。それに神様は世界の為に動く事はあっても、誰か一人の為に動く事は無いんだ」

 

フィーナ「何それ」

 

ソフィー「昔お婆ちゃんが言ってたんだ」

 

神様と呼ばれる者達は世界を管理する役目を持っている
それこそ一つや二つと数えられる物ではなく、むしろ数というより量
そんなに世界を作って如何するのか、そんなに世界に人間を増やして何がしたいのか
神様は一人の人間と同じ格好をしていて、一人の人間では成し得ない様な事を行う
その身は世界の為にある様な物で、誰か特定の一人の為にある訳ではない
もしも特別な誰かが居たとしたら、神様がそんな存在だったら
私の生まれたあの世界も無くなりはしなかっただろう

 

ソフィー「・・・って」

 

フィーナ「貴女のおばあさん、この国の人間じゃなかったのね」

 

ソフィー「え?・・・・・・あ。い、いやいやいや!今のは言葉の綾っていうか、その、ね?」

 

フィーナ「ああ、心配しなくても大丈夫よ。次元トレインという列車の存在も、このトウマの国が幾つも存在している世界の一つに過ぎないという事も承知しているわ」

 

ソフィー「・・・あー、後学の為に訊いていいかな?」

 

フィーナ「単純明快な答えよ」

 

フィーナの祖母にあたる人は、その職業柄色んな所に足を運んでいたらしい
遂にはその好奇心と興味から次元トレインを自力で探し当て、色々な次元世界を旅したらしい
確かパスカードは裏市場でも出回らない物だったと記憶しているのだが、如何やら彼女の祖母は正規的に入手出来たらしい
それも十分驚く事ではあるのだが、もっと驚きなのはそれがまだ二十代の頃だというから凄い

 

ソフィー「はー・・・・・・フィーナのお婆さんって凄い人だったんだね」

 

フィーナ「貴女のお婆さんもね」

 

車の中というには揺れ一つ無い完璧な安全空間で、脇に置いておいたティーカップを手に取るとフィーナは静かに傾けた
窓の外にはさっきまでが嘘の様に雲一つ無い快晴が広がっている


第十一雨
「結論:どっちも凄い」

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