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先を歩く姉の後に続きながらソフィー達は央都の街を進む

未だ街の全てを知らないソフィーからすれば、久し振りに街に来たであろう姉がこんなにスイスイと歩くのが信じられないでいた

が、そこはそれ。方向音痴と普通の人では比べる時点で間違っている

 

ミラ「うん、迷ったわ。まあ冗談だけれど」

 

ソフィー「・・・お姉ちゃん、その分かり難い冗談やめてよ」

 

ミラ「いいじゃない、私だってたまには冗談の一つ位言いたくなるもの」

 

ソフィー「(そもそもお姉ちゃんの冗談って、冗談と言えるのかどうかすら不明なんだよね。ノーモーションでバラすし)」

 

ミラ「まあ、そんな訳で着いたわよ」

 

言われて目の前の建物に目を向けた

デカい。フィーナの家もデカいけどそんなの比じゃないって位にデカい

というかむしろお城?

 

テッド「つかぬ事をお伺いしますが、ミラーユさんはこちらの城の主をご存知で?」

 

テッドの口調がおかしい

確かにお城に住んでる様な人とお姉ちゃんが知り合いというのは眉唾物だ

その問いにお姉ちゃんはというと

 

ミラ「ええ、先々代の夫婦共に親交があってね。ふふっ、最初に子供が出来たと報告をしに来たのも私の所だったわね」

 

リベリア「とても可愛い双子でしたよね。その後産まれた女の子なんかほっぺがぷにぷにで指先が幸せでしたよ~♪」

 

今は遠き過去の思い出に微笑を漏らす

その言葉に第三者の声が答える

 

「それ以上過去に思いを馳せるのは、せめて城内に入ってからにして頂きたい」

 

ミラ「あら、ごめんなさい。・・・それにしても、父親の方によく似ていること」

 

「邪心聖母殿にもその事でよくからかわれましたが、そこまでソックリですか?」

 

ミラ「ええ、似過ぎている程に。父様と母様もそう思わない?」

 

グラム「そうですな、容姿は完全に父方の遺伝でしょうな」

 

リベリア「それに『彼』の話では槍を修めているとか。その辺りは両方からの遺伝でしょうけど、ここまで家を永らえさせている所を見ると母方の遺伝はそちらに集中しているようですね」

 

ベタ褒めである

正直な話、この三人と一人はこの時点では初対面である

だというのにここまで相手を褒められるというのは物凄く謎な事である

 

「そこまで仰られると流石に私も居心地が悪いです」

 

ミラ「確かに、少し悪ノリが過ぎたわね。まだ貴方の名前も訊いていないし・・・」

 

ゼペスト「申し遅れました。この城の主でゼペスト=フォルテ=ソードと申します。以後お見知りおきを」

 

そう宣言した男の顔は狼その物だった

 

 

第十五雨

「獣槍公爵」

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