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この国は朝を知らないとか

夜になると国中の明かりが一斉に灯されるとか

そんな噂が絶えない街に私は来た

 

「なんて、一人暗闇に向かって独白をしてみたけれど・・・」

 

暗闇、何処から如何見ても暗闇以外の何物でもない

噂の一つにこの街に闇は存在しないというものがある

そんな噂を広めた人に言ってやりたい気分だ

闇が存在しない?何処が?

路地の真ん中に呆然と立つ私の周りは暗闇だらけだ

右を向いても闇、左を向いても闇、来た道を振り返っても闇、進む先も闇闇闇

 

「はぁ・・・ま、これっぽっちも期待はしてなかったけどね」

 

肩をガクッと落として一つ溜め息

お母さんは暗いのが嫌いだと言っていた

怪談話なんて論外、下手したらその場で失神する

その点お婆ちゃんは無敵だった

外見からじゃ分からないけど、結構色んな所を飛び回っていた様だ

おっと、回想に花を咲かせている場合じゃなかった

私は今勤め先を探している

お婆ちゃんの友達の家はもう代が変わってからは交流も途絶えたらしく、そちらは当てに出来ないと言われた

お母さんはそもそもそんなに友達が居なかったらしい。結構寂しい青春時代だと思う

お父さんは・・・

 

メイド「お嬢様、いましたよ」

 

少女「まったく・・・屋敷は央都にあると言ったのに、何処を如何したらイオに辿り着くのよ?」

 

その少女は私と同い年か、それとも年下か

黒のゴスロリ服に身を包んだ長身の幼女

ああ、矛盾かもしれないけど、そう表現するしかないんだ

 

少女「ええっと、申し訳無いけどもう一度貴女の名前を教えてくれるかしら」

 

「ソフィア=インベルタークです」

 

少女「じゃあソフィーで。後敬語は要らないわ」

 

ソフィ「分かりま・・・分かった。これからよろしく・・・えっと、お嬢様?」

 

少女「何で疑問文なのよ」

 

 

第二雨

「一寸先は真っ暗闇」

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