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部屋の中は静かだった
時折ケーブルの中を流れる光の運動と微小な音量を発する機械音以外には誰の声もしなかった
と、漸く一人の少女が口を開く

 

ソフィー「すっっっっっっごいっ!!」

 

目をキラキラと輝かせて両手を胸の前でギュッと握り凄い凄いと言うその様は
何処から如何見ても初めて戦隊ヒーローを見た男の子だった

 

ソフィー「機械なのに喋ってる!てゆーか全身機械だ、凄い!!肌の部分が一つも無いよ!!!」

 

テッド「ビックリするトコそこじゃなくね!?」

 

あまりに興奮しているものだからミラ達も何故なのか全く分からない
分からないのだが、ふとミラが閃いた

 

ミラ「もしかして、あそこの姉妹と比べているのかしら?」

 

リベリア「ああ、五番目の妹さんの!」

 

グラム「ふむ、成程、それならば納得がいきますな。彼女は全身の60%が機械だった筈なので、完全なロボットという物を見た事がありませんでしたな」

 

如何やら三人共得心が行った様だが、テッドからしてみればちんぷんかんぷんである
簡単に説明するとバテレイト一家が現在住んでいる町に、それはそれは可愛い八人の姉妹が住んでおりまして
その五番目の妹は昔事故に遭って全身の60%を機械で代用しておりまして
姉妹とよく遊んでいたソフィーはその者の事を思い出したという事である
凄い所でクロスオーバーしてるな

 

ブラストリオン「俺ハ此処でバベルリンクを用い、この百年間日々新たな情報ヲ収集し続けた」

 

ソフィー「バベルリンク?」

 

ミラ「ブラストリオンからケーブルがのびているでしょ?アレは彼が作り出した独自のネットワークに繋がっているの。この屋敷を外界から隠し通せているのもバベルリンクの応用による物よ」

 

ブラストリオン「正しくはバベルリンクを作り出す上デ改良ヲ加えた三重機構エンジン改め、全十二幻エンジンニ因る物ダ」

 

ソフィー「うっそ、ステルス機能搭載なの!?じゃあじゃあ、プレデターとかと戦えるの?!」

 

ブラストリオン「プレデターという者ガ何者カハ分からないが、ステルス機能ハ元々俺ニ備わっていた機能ダ」

 

ソフィー「そっかー、いい物持ってるんだね。他は?他は?」

 

ブラストリオン「白兵戦用装備ト砲撃戦用装備、ソレト隠密専用装備ノ三タイプが基本兵装トシテ登録してある。ステルス機能ハ隠密専用装備の付随物トイウ事ダ」

 

ソフィー「貴方を作った人はロマン分かってるね!」

 

ブラストリオン「そのロマンという言葉ノ意味ハ分からんが、俺達ガあの方ヲ生みノ親以上ニ尊敬していた様にあの方モ俺達ヲ愛してくれていたト俺ハ思っている。デナケレバ、タダノ機械ニ心ナド植え付けんさ」

 

ソフィー「うん、私も会いたいな、その人に」

 

ブラストリオン「灰機甲国跡ニ行くといい。機界城ハ大戦時ニ消滅しているが広場ニ慰霊碑ガ設置されている。機会ガアレバ花デモ供えてくれ」

 

ソフィー「ん、分かった!」

 

ソフィーは満面の笑顔で返す
二人の会話に何かを思ったのかグラムは一人口の中で呟いた

 

グラム「(賢機帝ベーオ・リンデ、灰機甲国の甲帝にして全ての機械兵の製造者。自身も機械であり、大戦中期に甲国にある機界城諸共消滅したと言われているが・・・)」

 

ブラストリオン「・・・先程モ言ったが、俺はバベルリンクを用いトウマの国全域ノ情報収集ヲ行っている。ソノ過程デ一つのイレギュラーが発生した」

 

ブラストリオンは右手を静かに上げると目的の人物を指差した

 

ブラストリオン「ソレハ貴様ダ。央都政府役所ニ出生記録ガ無く、コノ世界ノどの種族トモ相似性ガ見当たらない。ソシテ一番ノ要因ハ・・・」

 

ソフィー「・・・体臭が一切しない、とか?」

 

ずっと解けなかったパズルのピースがはまったのか、確信をつく様にソフィーが言葉を繋げた

 

ソフィー「さっき人とぶつかった時に抱き止められたんだけど、その時に全然においがしなかった。私もお姉ちゃんに言われるまで気付かなかったし貴方もそうなんだと思う。テッド・・・・・・ううん、キリガラ」

 

テッド「ふぅ・・・人の手を借りるのは反則だが、それでもいい読みだ。流石は我等が雨巫女、そうでなくては守り甲斐が無い」


 

第二十一雨
「空涙」

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