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ライトスタンドもカツ丼も無いが、テッドへの尋問タイムが始まった

 

テッド「先に言っとくが、俺がこの世界に来たのは偶然だぞ」

 

ソフィー「でもテッドはキリガラで確定なんでしょ?だったら・・・」

 

テッド「確かに俺とアイツは同一人物だがな、簡単に言や自覚のある二重人格なんだよ。戦闘はアイツがやって情報収集は俺ってな感じにな」

 

ポリポリと頭を掻きながら「参ったな、体臭は予想してなかったわ」と明後日の方を見ながら呟くテッド

 

ミラ「大方次元トレインのパスを誰かから盗んだかして、この世界に来たという所かしら」

 

テッド「盗んでねえよ。これは真実の探求者だとかいう妙に元気な婆さんに貰ったモンだ」

 

後ろポケットから黒塗りの定期入れに入ったパスを取り出すと、それを掲げながら謂れの無い罪を否定する
そのパスはソフィーやミラの持っているパスと同じで虹色の輝きを放っている

 

ソフィー「え、でも、だってテッドは央都駅に十三番線なんて無いって言ってたし、私と一緒に居たからホームに入って来れたんじゃないの?!」

 

ミラ「ソフィー・・・このパスはね、一人に一枚なのよ」

 

リベリア「お母さんも持っているし、お父さんもパスを持っているわ。そこに特例なんて無いの、パスを持たない者に次元トレインに乗る資格は無いわ」

 

故にテッドがパスを持っているのは真っ当な事で、ここにあるパスが本物である事は誰にも否定出来ない真実である

 

ミラ「それにね、十三番線を知らないというのは恐らく、この世界に来てから一度も他の世界に出ていないという事・・・になるのではないかしら?」

 

テッド「非の打ち所も無い程合ってるよ。婆さんがやって来たっつー世界に幾らか興味が湧いたんでな、実際に来てみたら居心地が良過ぎて気付けば永住コースだ」

 

ミラ「そうでしょうね。この世界程人を外れた者が棲み易い所は無いわ」

 

ブラストリオン「ダガ、一つ不可解ナ事柄ガある」

 

テッド「なんだ、まだ尋問タイム続いてんのか?これ以上は特に隠す様な事は・・・」

 

ブラストリオン「ソフィーが雨巫女である事ハ名称ノ交換デ明るみニハ出るが、何故示し合わせた様にソフィーと出会えたのか、トイウ事ニついてダ」

 

テッド「・・・・・・俺は今、暗きイオに所属していたとされるブラックリッド家について調べている。ソフィーの動向はその依頼人からの情報さ」

 

ブラストリオン「ブラックリッドだと?」

 

かつてローレウル十三廻廊にブラックリッド家の当主が居た
紳士を描いた様な人物で思慮深く弱きを守る男
しかしそれは只の偽装であり、実際は腹に一物を抱える野心家であった
彼はローレウル十三廻廊を内部から乗っ取る為に、密かに同じ廻廊のメンバーに言葉巧みに取り入りとある事件を起こした
策は完全に機能し、遂に最後の障害を取り除こうとしたその直前
彼はその短い生涯を閉じる事になった
真相は分からない。当時の央都政府はただの民間上がりの組織であり、ローレウル十三廻廊はこの件について黙秘を選んだ
そのブラックリッド家がこの現代にどう関係しているのか

 

ミラ「・・・シュタインブルー家を調べなさい。かつてカサエル=ブラックリッドが取り入ったのはシュタインブルーの当主なのだから」

 

テッド「極北を統治していたシュタインブルーか。悪いが天獄の姫の情報でもそりゃ無理だ」

 

ミラ「私は今は秘石の魔女と名乗って・・・何故無理なの?寒いのが嫌だからなんて言ったら、手足を「没落してるんだよ」鳥の餌にでも・・・は?」

 

テッド「だから、シュタインブルーは当主が死んで城も売りに出されてる。没落だと正しくは言葉が違うかもしれねえが似た様なモンだろう」

 

ブラストリオン「記録ニ無い事柄ダゾ。小僧、ソレハ本当ノ事カ?」

 

テッド「事実だ。なんせ当主を殺した奴は俺の依頼人だからな」

 

冷たい風が地下室を吹き抜けた気がした

 


第二十二雨
「黒き亡霊」

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