お話が理路整然である方が
誰も彼もが上手に物語を進められる様に
家々を規則正しく並べ立てれば
日々の生活も上手く過ごせられる
・・・なんて、必ずしもそんな事は無く
ソフィー「早い話が何事も順序が大切な訳。最初からキッチリしてたら、どんなものでも面白くはないからね」
フィーナ「貴女の言いたい事は分かったわ。でもねソフィー、今の私が貴女に言える事があるとすれば唯一つ・・・・・・いいからとっとと私の選んだ服を着なさい」
ソフィー「うぐ・・・」
二人が今居る所は家から然程離れていない街の一角
赤や黄、オレンジといった暖色の屋根が軒を彩る小さな街
名をテレティア。通称「田舎の一歩手前」
首都である央都から離れている故に、何もかも少し遅れている街だった
ソフィー「何か変じゃない?」
黒いフレアスカートをヒラヒラ漂わせながら訊くソフィー
フィーナ「良く似合ってるわよ。まあ、確かにサイズの割には裾が長い気がするし、胸の辺りがこう・・・・・・」
フィーナの言わんとしている事は至極簡単だった
胸の辺りがやや窮屈そうに見えたのだ
ただフィーナはそれ以上言葉にはしたくなかった
何となく負けた気分になるからである
思い返してみれば、母も祖母も胸が薄かった
いや、薄いという表現も些か少なく見積もり過ぎだろう
普通の大きさが「並」だとするなら、彼女の家系は揃いも揃って「微」だった
貧乳の好意的な呼び方が微乳だというのは知ってはいるが、結局の所意味合いは同じである
しかも、である
彼女も、その母親も、祖母に至るまでがコンプレックスを抱いていたのだから、また何とも言えない
ソフィー「だ、大丈夫?凄い虚ろな目してるけど・・・」
フィーナ「大丈夫よ、別に女の魅力は胸だけではないもの」
明後日の方向を見ながら乾いた笑いをするフィーナ
どんな顔で返せばいいのか分からず、助けを求める様に不意にレジの方を見た
そこに・・・
ソフィー「・・・っ!?」
メイドが一人、恍惚とした表情をフィーナに向けていた
正直背中を悪寒が駆け抜けた
第五雨
「神様は意地悪だ」
完