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グラム「妙だな・・・」

 

イル「何がですか?」

 

グラム「守りを失ったとはいえ、此処は廻廊本部。それ相応の余剰戦力があると踏んでいたのだが・・・」

 

イル「確かに・・・少し拍子抜けですね」

 

剣を仕舞うグラム

脅威が無いのならそれに越した事は無い

 

グラム「―――ぬぅっ!」

 

イル「グラムさん?!・・・な、何コレ・・・外壁?」

 

そう、廻廊本部の外壁である

それはまるで生き物の様にうねり

ヒトの四肢の如く意思を持っている

 

イル「これもアイツの力だっての?!」

 

グラム「いや、力の奔流は感じられぬ。これは単なる自己防衛らしい」

 

イル「嘘!?廻廊って生きてるの!?」

 

ドーファ『大丈夫か、イル!ジイさん!』

 

イル「まだ、ね。それよりコレの説明を求めたいんだけど?」

 

ドーファ『姫さんによれば廻廊の防衛プログラムが働いているらしい』

 

イル「そ、そういう事は出る前に言っておくのが礼儀ってモノじゃないのかしら!?」

 

半ばキレ気味で話すイル

ここには居ない者に対してのこれである

確かに正論ではあるのだが

何というか状況を考えて欲しいというのもある

 

ミラ「あら、私は二人を信頼しているのよ?そんな児戯程度に遅れをとるなんて思っていないもの」

 

信頼

それは最高の言葉

信頼

それは最も信じるに値する者の象徴

そうまでミラは二人を信頼し

この場所の担当にあたらせたのである

 

グラム「勿体無きお言葉です、ミラ様。この身、一意専心の構えで行かせて戴きます!」

 

イル「呆れた、っていう言葉も出ないわね。オーケー、天獄の姫が信頼してくれるのならそれに勝る事は無いわ!」

 

二人は裂帛の気合で自身を震わせ

目の前の障害物目掛けて駆け出す

 

ドーファ「姫さんってオレより参謀の名前が似合ってると思いますがね」

 

ミラ「そうかしら?貴方が策士で参謀なら、私は只の鼓舞係だと思うわ」

 

ふふ、と微笑みミラは奥へと引っ込む

 

ドーファ「あー・・・やっぱ姫さんには勝てねーや」

 

 

第二十八骨

「信頼する者、される者」

 

EDテーマ

イメージ:秋色(秋色恋華/橋本みゆき)

 

『信用』と『信頼』

信じて用いるか、信じて頼るかの違い

前者は使い捨てのコマみたいに

後者は一生同棲決定の夫婦みたいに

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