top of page

車椅子を押して貰いながらふと思い出す

 

オド「そういえば・・・ラストクロノス計画というのは結局何だったんだろうか?」

 

ラストクロノス計画

今となっては知る者は自分だけになってしまった

最後の時と銘打ったものだが

最終的に何事も無かったので分からず仕舞いだ

 

オド「最後の時と題しているんだから、それ相応の内容だったんだろうけど・・・」

 

オド「ねえ、貴女は如何考えますか、テーゼ“さん”」

 

テーゼは言葉に詰まる

オドの状態は正常に戻った

しかし記憶系統に欠落を生み

テーゼに関する記憶を失ってしまっていた

それを知ったテーゼはひどく狼狽した

 

テーゼ「そう、ですね。多分廻廊ではなく央都政府を内側から崩そうとしていたんじゃないですか?」

 

自分に親しく話しかけてきた

傷を負いながらも気にかけてくれた

自分では分からない位に彼の事を考えていた

そんな自分に気付くのにそう長くは掛からなかった

でも、今彼はこうして私の事を忘れている

 

オド「成程、そういう考え方も出来ますね。ありがとうございます」

 

彼の笑顔が私には辛い

突き刺さってくる様な痛み

彼の顔を正面からはまともに見れない

でも・・・そんな私はもっと・・・

 

テーゼ「ねえ、オド。今度境会に来ない?相応のおもてなしをするわよ」

 

オド「あ、いいですね。妖精境会でしたっけ?教会は行った事あるんですけど、境会には行った事無いからとても嬉しいです♪」

 

オドは子供みたいにはしゃぐ

その姿を見ながらテーゼは深く誓う

何時か必ずオドの記憶を元に戻してみせると

そしてその時は彼の願いを叶えるのだと

 

オド「そろそろ春ですね・・・今年も桜を見れるといいなぁ」

 

テーゼ「それじゃあ、一緒に見に行きましょう。お花見をしながらお弁当を食べましょう」

 

目を細めるオドは嬉しそうに笑顔を作る

彼の周りには沢山の人が居る

それでも私はその中の一番でいたいと思った

何時か彼の隣りに立つ事を夢見ながら

私は車椅子を押して彼と進む

 

 

第三十三骨

「何時か必ず」

 

EDテーマ

イメージ:H2O(H2O/monet)

 

深く考えてはいけない

bottom of page