終わった
全て終わったのだ
全てという言葉に関連するのは
最初の出逢いから最後の件までである
この物語の最後は
ホーネットが死んでから数日後
ミラの一言から始まる
ミラ「グラム=バテレイト、貴方と私の契約を破棄します」
グラム「・・・ミラ様?何を仰っているのですか?」
リベリア「ミラ、まさか貴女・・・」
ミラ「そうよ、リベリア。私は戻るの・・・あの頃の私に」
ミラは語る
私はこの世界のヒトではないと・・・
幾多の次元を渡り歩き
繋がりと呼ばれるモノを絶つのが自己の役割
誰かに決められた訳ではなく
しなければならない訳でもない
ただ、それだけが自分が生きていると感じられる事柄だった
それだけなのだ
グラム「では、ミラ様はこの二十年間苦痛だったのですか?」
ミラ「そう、ね・・・・・・辛く苦しい事もあったけれど、貴方が側に居たからとても楽しかったわ」
少し困った風に笑顔を作りこちらを向いて答える
グラム「この身もミラ様が居られた事により充実しております。ですが肝心のミラ様がこの身を離れるのは少々酷な物です」
リベリア「私だって友達を失うのは嫌よ。お願い、行かないでちょうだい!」
ミラ「あなた達、それは端から聞いていると脅しか何かに聞こえるわよ?」
グラム「脅しだとしても聞き入れて頂けたら嬉しい事はないのですが」
ミラ「・・・・・・本当はね、私も此処から離れたくないって思っているわ。でも理由が無いじゃない、此処に居たい確実な理由が」
リベリア「だからって・・・こんなの、寂し過ぎる・・・」
グラム「理由が欲しいと言いましたな」
ミラ「ええ、そうよ。作れるものなら貴方に頼んだのだけれど、それも無理よね。貴方は騎士だもの」
グラム「いいえ、この身でも容易に作れる理由があります」
ミラ「・・・馬鹿言わないで頂戴。一介の、それも狐王にも劣る髑髏騎士が吐いていい嘘ではないわよ!」
ミラの怒りは解る
自分がなし得ない事を他人が出来る筈も無い
そういった先入観からこの様な態度をとるのである
だがそれは違う
髑髏騎士は
グラム=バテレイトという男は
己の敬愛すべき主の為ならば
どの様な事も厭わない
それだけの覚悟をあの時したのだ
二十年前のあの戦場で・・・
グラム「嘘ではありません、貴女様はもう家族なのです。ワシとリベリアとミラ様、三人で一つの家族なのです」
リベリアがその言葉を引き継ぐ
リベリア「ミラ、貴女は勘が良いけど気付かなかったでしょうね。私もグラムも貴女の事をかけがえの無い人だって思っているのよ?」
ミラ「・・・・・・・はぁ、あなた達って本当に馬鹿ね、大馬鹿者よ」
リベリア「貴女に逢ったあの時から、私が頭の良い回答をした事があるかしら?」
おどけた風に言う
その姿を見て苦笑しながらミラも言う
ミラ「まったく・・・あなた達には負けるわ」
グラム「では、ミラ様」
ミラ「ええ、もう渡り歩くのはやめるわ。今日で繋がりを絶つ者としての役目は引退、大人しく貴方達の娘にでもなるわ」
グラム「な・・・」
リベリア「あら、それは同情?それとも敬意?」
ミラ「どれでもないわ。だって私はグラムが好きですもの、ライバルは身近に居た方がいいじゃない。おかあさま?」
リベリア「好き程度じゃ私には敵わないんじゃないかしらぁ?」
ミラ「それは言葉を置き換えているだけよ。『好き』も『愛してる』も結局は同じ意味なのよ?」
やっぱり頭は治ってないみたいね、と皮肉を言い
娘のくせに母親にモノ言ってくれるじゃない、と言い返す
グラムはそんな二人に板挟みにされながら呟く
グラム「娘・・・か」
どこか嬉しそうだった
最終骨
「題名はまだ無い」
完
EDテーマ
イメージ:Butter-Fly・最終回バージョン(デジモンアドベンチャー)