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それは・・・

赤き月夜の晩に起こった

 

アリューダ「シュタインブルーの当主が紙面を騒がせているらしいですよ」

 

ミラ「あら、あの子また何か言ったの?」

 

アリューダ「シュタインブルーの当主と面識がお有りなんですか?」

 

ミラ「ええ、よく一緒に遊んだわ」

 

ソフィア=シュタインブルー

トウマの国・極北地帯を統べるシュタインブルー家の長女にして

実質上の当主である

 

ミラ「そうね。久し振りに会おうかしら」

 

飲んでいた紅茶のカップを置くとミラはそう言って立ち上がる

日が沈んでそれ程経たない時刻だが

そんな物は関係ないのだ

この国では夜等意味が無い物だから

 

アリューダ「お出掛けですか?それなら今夜は暑いのでこちらのお召し物の方が良いと思いますよ」

 

アリューダが出したのは白いサマードレス

フリルの一杯付いたサマードレス

 

ミラ「い、いえ、いいわ。私そういうフリフリしたドレス苦手なのよ」

 

アリューダ「えー、可愛いのに・・・」

 

ミラ「私は時々貴女が解らなくなるわ」

 

~シュタインブルー家~

煌びやかとは違うが質素とも程遠い

そんな内装の館がシュタインブルーである

白を基調とした調度品が配置されており

まるで雪国の様である

 

ミラ「ソフィアは居るかしら?」

 

執事「これはこれは。ミラーユ様、今日は如何いったご用件でしょうか?」

 

ミラ「ミラでいいわ。ソフィアと話をしに来たのだけれど、予約が必要だったかしら?」

 

執事「いえいえ、必要ありません。ソフィア様も奥でお待ちになっております。ささ、どうぞ」

 

ミラ「邪魔をするわね」

 

通されたのはこの館の食堂

長いテーブルの一番奥に座っているのは

今回の目的であるソフィアである

 

ソフィア「そろそろ来る頃だと思っていたわ」

 

ミラ「他でもない貴女の件ですもの。来ない訳にはいかないわ」

 

ソフィア「それで用件は何かしら?」

 

ミラ「また何かやらかしたそうじゃない」

 

ソフィア「ああ、あの事・・・昨今の吸血鬼問題は貴女も知っているでしょう?」

 

ミラ「確かスノーヴァンプが道行く者を襲う、という話だったかしら」

 

ソフィア「ええ、ウチの領土で好き勝手するのは別にいいけど、雪原を血で染めるのは少々見捨てて置けないのよ」

 

ミラ「だから央都新聞に情報を流した訳?」

 

ため息を吐く

彼女にしてみれば大変な事だろうが

こちらにとっては些細な事である

 

ミラ「はぁ・・・貴女は馬鹿なのかしら?」

 

ソフィア「なっ!?」

 

ミラ「そんな小さい事を追いかけてばっかりでは世界を把握出来ないわよ」

 

ソフィア「そ、そうですか。日がな一日中屋敷に引き篭もってる貴女には言われたくないけどねー」

 

何やら空気が変わった気がする

 

ミラ「誰がモグラですって!」

 

ソフィア「あら、私はそんな事言ってないけど自覚はあるのかしら」

 

言い返すミラ姫

白熱する言い合い

穏やかな空気は一瞬で破られた

 

ミラ「覚えてなさいよソフィア、今度会ったらタダじゃおかないから」

 

ソフィア「あら、それはこっちのセリフよ。その綺麗な髪を思いっきり切ってやるんだから」

 

ミラ「邪魔したわね」

 

ソフィア「おととい来やがれ」

 

下品で不釣合いな言葉で幕引き

スッキリした様な顔で館を後にするミラ

その後ろ姿を見て

ソフィアは静かに心の扉を閉めた

 

 

第五骨

「雪血華」

 

EDテーマ

イメージ:born legend

 

 

過去、決意、現在(いま)、友、血の宿命

キーワードは沢山ある

どれが必要なのか

どれが不必要なのか

孤独を貫けばいいのか

誰かの傍に居ればいいのか

それが分からない

解らない、自分には理解出来ない

だから―――。

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