朝日が昇る。今日も良い天気だ
朝食の準備が終わったのでマスターを起こしに行く
僕がお世話になっているマスターは『断罪皇帝』という冒険者の間では最もよく知られている人だ
最初の出逢いからそれなりに時間は経っているけど、マスターが断罪皇帝だという事もマスターが本当はどんな人なのかという事も僕は誰にも言っていない
確かにマスターから言うなと釘を刺されているというのもあるけど、僕は他人の秘密を暴露したいからマスターの傍に居るんじゃない
「マスター、起きて下さい。朝ですよ」
ドアをノックして反応を待つ
何の応答も無い事に苦笑しつつ、何時もの事なので遠慮もせずに部屋に入る
入ってすぐに溜め息が漏れる
確かにここ何日は熱帯夜だったけど、タオルケット一枚で寝るのは如何な物だろうか?
「マスター、朝ですよ。早く起きないとご飯冷めちゃいますよ?」
軽く肩を揺する
ん、と小さく声を上げてマスターはその目を薄く開いて起き上がる
上半身は何も着ずに寝るのがマスターの寝方だ
といっても普段からパンツ一枚で過ごしているので、最初の頃は目のやり場に困った
「(それも今では慣れちゃった訳だけど・・・)」
「んむ・・・・・・ぐー・・・」
「ってマスター、二度寝しないで下さいよ!」
肩を掴んでガクガクと揺らす
その振動で起きたのかマスターは少しダウナー気味に返事をした
「充・・・貴様、寝起きぐらいは手加減をだな・・・」
顔をちょっと青くさせながら言ってくるけどこの会話も慣れた物だ
というか一度で起きないマスターが悪いのだけど、それを言ってしまったら手痛い仕打ちが待っているので口には出さない
充「今日は和食が良いと言ったのはマスターでしょう。味噌汁は冷めたら美味しくないんですからね」
「ん、そうだったな。確かに先程から和の香りが漂って来ている気がするぞ」
言うが早いか素早くベッドから降りるとそのままの格好でダイニングへ直行
僕は乱れたベッドシーツやら何やらを手早く整えるとそれに続いた
「うむ、塩分濃度も我好みだ」
充「マスター、タクワンの方は如何ですか?」
「・・・まだ少し辛いな」
言うのを忘れていましたが僕のマスター・・・つまり断罪皇帝は少女の姿をしています
いつも冒険者相手に猛威を振るっている姿はどちらかといえばリビングメイル一歩手前なんですが、実は中に入っている人は僕よりも一回りも二回りも小さい少女なんです
その事を言ったらマスターはマジギレしますけど、僕としてはそんなマスターも好きなので何か複雑な気分です
「意外!中身は(半裸の)少女」
完