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準々決勝第二回戦が始まった

今大会一番の目玉であり、人間と人外の頂上決戦でもあった

 

霊武「確か戦神と呼ばれていたな。戦の神・・・それが真の事なら吾を倒す事など楽であろう?」

 

真崎「その名前は通り名なので、貴方の期待に応えられるか如何かは分かりません」

 

霊武「いやいや、吾の放つ殺気を目前にしてその自然体。期待するなという方がおかしいだろうよ」

 

真崎「そういう物ですかね。僕からすれば殺気を当てられる事なんて日常茶飯事なので慣れてるだけなんですが」

 

日常茶飯事と自分で言っておいて苦笑する

その言葉に霊武は少しだけ震えた

規格外レベルの殺気が日常茶飯事などと言うのだ

これで目の前の男が真性の化け物であると再認識した

両の袖から一対の扇を取り出す

その動作を見ても尚、自然体のまま立っている相手

 

霊武「(先ずは小手調べと行こうか)―――疾っ」

 

扇を閉じたまま振るうと先端から針が数本飛び出す

それは真崎目掛けて飛んで行き・・・

 

霊武「・・・ほぉ」

 

一つ残らず弾かれた

しかもその全ての針の先端が潰されている

観客からは何をしたのかが見えていない様でザワザワと騒がしい

 

霊武「(不可視の使役魔、もしくは単なる拳による衝撃波か?それ以外だとしたら流石の吾でも苦戦を強いるかもしれんな)」

 

真崎「初手はそちらに譲りますが、次は僕から行かせて貰います」

 

言うが早いかその場から姿が掻き消える

人間の身で瞬動を扱うなどと誰が信じえよう

だが目の前で直に見れば否応にも信じるしかない

 

霊武「っ其処か!」

 

右の扇が閃く

正面からやや右寄りに感触があった

何かが当たった、としか認識出来ない

 

真崎「っと。初撃を受け止められたのは久し振りですよ」

 

少しだけ驚く声が聞こえた

そして自分から離れる気配を察知した

それでも未だ姿は見えず、風に乗ってでしか声は聞こえない

不可解な現象だった。風よりも素早く動くなど現在の人間の技術力では不可能に近いからだ

 

霊武「(まるで蜃気楼か何かだな・・・)」

 

だが蜃気楼はまだおぼろげながらも見える物だ

これは全く見えない。声だけは聞こえるがそれだけで現状は好転しない

だから霊武は策に出た

見えないのなら見える様にすればいい

扇を開く。相手はそれでも余裕であるのか技の発動まで待つつもりだ

その展開は霊武にとっては思わぬ好機であったといえる

顔の前で扇を左右に交差させる

 

霊武「其は着眼大局也。―――陰陽扇・閉錠郷」

 

その瞬間、霊武の両眼が鏡の様に輝いた気がした

 

続け 

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