真崎「(・・・・・・あの目で見られると全て見透かされている様な感覚になるな)」
霊武「ふ、そのまさかだ。吾はお主の事が手に取る様に分かる」
真崎は目を見開いて驚く
心の内を読まれるのには慣れていないからだ
読唇術には遭遇した事があるが、まさか読心術に出会う事になるとは思ってもみなかった
だがそれも先程の技の恩恵なのだろうと同時に思った
真崎「・・・なら、これなら如何ですか!」
霊武「ふむ、左わき腹掌打」
的確に扇で防いでくる霊武に真崎は尚も諦めない
未だ真崎の攻撃方法が露見していないまま攻防は続く
腰部圧壊、後頭部貫通、右肘破壊、肋骨粉砕、両の目潰し、武器蹴り上げ
そのほとんどの攻撃を防ぐ
それは端から見れば先読みの域ではあるが、避ける当人からしてみれば後の先といえるだろう
霊武「(だが・・・未だに攻撃の仕組みが解らぬのは痛いな)」
読心を以ってしても読めない攻撃があるのかと心底驚き感嘆はすれども、それでは進歩していないのと同じである
真崎「これも防ぎますか。なら、あまり手の内は見せたくないですが・・・」
突然攻撃をやめてぶらりと両腕を垂らす
そして目を瞑り深く息を吸い、また深く吐き出す
ゆっくり目を開けると・・・
真崎の背後にゆらりと浮かぶ異形の神の姿があった
霊武「な、何!?」
何が何だか分からないといった風だ
まさか神を憑依させた者だったとは夢にも思っていなかったのだ
自分の様な規格外クラスをも超える存在、神
しかも異形の姿からして本来こちらの次元に存在する筈の無い神という事になる
そう、こちら側の神は全てが人間の形態をしているのだ
霊武は震えた。武者震い等ではない、本物の恐怖だ
その力は未知数、下手をすれば次の瞬間には己は消し炭になっているかもしれない
この時、魔桜・霊武は初めて恐怖を知った
邪狼「・・・は、ははは、まさかモノホンの戦神王に会えるとはな・・・」
戦神王、その力は次元を引き裂くと云われている
正義でも悪でもない、正でも負でもない、中立に位置する黒キ極大神
故に、戦神王を憑依せし者は総じて『戦神』と呼ばれる
斐綱「え、えっと・・・あの、試合の方は・・・」
邪狼「続行は無理だな。奴さんにこれ以上の戦う意思は無さそうだし、魔桜の方も戦意喪失してやがる」
斐綱「え、えと・・・では準々決勝第二回戦の勝者は『戦神』真崎謙悟選手です!」
とてもじゃないが続きをする気にはならないだろう
それに如何見たって天と地程の差が両者の間にはある
そんなのは例えいい試合になろうとも、結果は目に見えている事だ
続け