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直前の師の言葉が如何も引っ掛かるが、今は目の前の事に集中するべきだと考える

これまでの試合を見ても解る通り、今回の相手には絶対に敵わない事は明白

これはお世辞等ではなく、事実を言っているに過ぎない

自分の力量より遥かに上位に位置する存在だという事なんて言われなくても解る

 

斐綱「準々決勝第三回戦、始め!」

 

今回は短い合図から始まった

多分色々考えたけど面倒臭くなってやめたに一票

 

白帝「(まともに戦っても此方に勝ちは無い、ならば最初から全力で・・・)―――参る!」

 

神力を最大まで解放し、六逆・一の型の特性を最大限に利用した一撃必殺戦法

神の如き速さを持つ者のみに許された戦い方だ

ヒットアンドアウェイ?必殺を持っているのに離脱を視野に入れるは誤り也

そうやって保守的な考えのもう一人の自分の考えを押さえ込んだ

渾身の一撃をその首に振り下ろす

結果は・・・

 

真崎「ん」

 

直前で首をそらされる事で失敗に終わった

流石にそれは予測していたのか、そのままのスピードで逆袈裟斬りを敢行

しかしそれも半歩下がるだけでかわされてしまう

歯痒い。彼女がそう思ったか如何かは定かではない

直後に投げ飛ばされていたからだ

まさか剣を持った相手を何の躊躇も無く投げ飛ばすとは思わなかった

咄嗟に受身を取る。何も剣ばかりを追い求めている訳ではない

 

白帝「(だが腕を掴まれた感触は無かった。服を掴まれた感触も同じだ)」

 

ならば考えられる事は一つだけ

刀身を掴んで投げたとしか考えられない

その結論に達してしまうともう何をしても無駄だという事が解ってしまう

剣士が剣を掴まれる等前代未聞だ

真剣白刃取りは知っているがアレはあくまで挟む事を言う

今みたいに掴むなんて事は誰も出来ないし、しようとも思わない

それはつまり自らの腕を犠牲にするのと同じだからだ

 

白帝「(これが戦神、これが人類最強。ならば先程よりも速く動けば・・・)―――神速・白雀!」

 

それは鳥よりも速い速度

白い雀は神の鳥、風に乗り千里を刹那で飛ぶ

 

白帝「これで!!」

 

真崎「これで・・・王手です」

 

刀身をまたも掴まれた

そしてそのまま引き寄せられて、鳩尾に待ち構えていた裏拳を喰らった

成す術は無かった。予測よりも速く、予想よりもずっと重い一撃だった

衝撃で少し吐血した

それまでだった。剣士は意識を捨てて戦の神はまた自然体に戻った

あまりにも速かったのに、まるで壁だと思っていた物から突然杭が生えたかの様に止められた

救護班が白帝を担いで連れて行く

その様子を見送ると男はバトルフィールドを後にした

ただ強かった、それだけの事

 

続け 

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