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誰もが見る事を拒まない

誰もが見る事を望んでいた

両者とも勝敗なんて考えていない

そんな試合が今始まる

 

斐綱「天星武闘会もいよいよファイナル間近!観戦しない奴はとっとと帰れと言わんばかりの熱気が場内を包んでおります!!それではっ準決勝レディーーーゴーーーーーーっっっ!!!」

 

試合開始のゴングが今までよりも大きな音を鳴らす

というか音がデカ過ぎるだろと思って見てみたら銅鑼だった

おい待てそこの司会者

流石にツッコミを入れる

始まってすぐなのに余所見をしてしまった

でも真崎さんは待ってくれている

 

蒼麻「待ってくれるんですね」

 

真崎「そりゃあね、僕もツッコみたい気でいたんだけど君がやってくれたし」

 

あははと笑う

その性格はやっぱり俺の知ってる真崎さんだった

何故だか涙がこみ上げて来そうになったが、我慢して走り出す

泣くのは全てが終わってから。これも真崎さんから教えてもらった事

 

真崎「おっと・・・中々キレのある足技だね」

 

蒼麻「当然!昔は剣ばっかだったけど今はこっちがメインだからな!!」

 

言いながらも足を動かす

百烈脚とか名付けてもいい位の乱舞振りだ

 

真崎「成程。長所ばかりを伸ばしたんじゃ何時か頭打ちになるからね」

 

真崎「でもやるんならこの位やらなきゃ駄目じゃないかな?」

 

言い終わるのと俺の背中に激痛が走るのは同時だった

 

蒼麻「づっ、正面に居たのに何で!?」

 

真崎「今のは不可折脚っていうんだ。普通ではありえない角度に曲がる初見殺しの足技だよ」

 

それを聞いて俺はかなり驚いた

アンタ本当に人間か!いやそりゃ死んでるけどさ・・・

後、こればっかりはラーニングしたくないと本気で思った

そんなどっかのラブコメ主人公の大学入学式じゃないんだから

 

蒼麻「それはちょっと放送コードに引っ掛かる気がしますけど・・・」

 

真崎「うん、僕もあまり使いたくはないんだ」

 

さらっと不使用宣言するし

感心ともげんなりとも表現し辛い顔をしながらバックステップで距離を取る

今の真崎さんは如何考えても手を抜いてくれている

問題は本気を出させる為には如何すればいいか

そしてその後は如何するかという事

 

真崎「蒼麻くん、本気出して欲しいかい?」

 

考えていた事をズバリ言われるとは思わなかった

 

蒼麻「ま、まあ、そうですけど・・・そうなるとすぐ終わるでしょ?」

 

真崎「それをさせないのが君なんじゃないのかな?」

 

ん?と首を傾げながら言う

正直愚痴りたい

さっき漸く持ち直した元気を張り倒して再起不能にしそうな顔してるんですけど

刹那の時間で考える。時は待ってくれないからだ

そして半分諦めながらも答えをぶつける

 

蒼麻「あの頃のままじゃないってトコを見せてあげますよ!」

 

真崎「言うじゃないか、流石は男の子」

 

何か涙出そうになって来たなぁ

何でかなぁ、始まった時の涙とは種類が違う気がするんだよなぁ

※多分それは理不尽を相手にしてるからだよ

 

続け 

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