打ち合いが続く
嵐の場合は普段から戦場を駆けている為、その基礎も応用力も備わっている
一方の蒼麻は神社離れの剣道場で師範をやってはいるが、稽古中にその姿を人前に晒した事は無く怠惰に日常を暮らしている
そんな状態故に「剣の才能が無いのか」と問われれば、「全くの逆であり神が与えた才能である」といえる
元々とある剣道場で雇われ師範代をしていた事もあり、指導した生徒の数は計り知れない
それに蒼麻が剣の何たるかを教わった人物は、神の間でも右に出る者は無いとされる豊神・千里である
その事からも分かる様に、まさに持っているに相応しい才能量なのだ
しかし本人に積極的に戦う姿勢は微塵も感じられないのが、普段から蒼麻を見ている子供達の見解である
蒼麻「よっ。今のは重心がちょっと左に傾いてたかな、精進精進」
普段は消極的なのに何故か今は活き活きとしている
これも親しい間柄だからなのだろうか
しかも隙あらば悪い所を指摘してアドバイスしている
嵐「先程から当たってはいるのに全然致命傷が与えられないなんて・・・」
蒼麻「ちょいと力み過ぎだなぁ。ほれ深呼吸深呼吸、力入れ過ぎても良い事無いぞ?」
嵐「ならここで返すのは!」
蒼麻「おお、下に受け流してからの懐への接近、そして体当たりで後退させるか・・・。中々考えてはあるけど俺ならこうする!」
言って途中までは嵐と同じ動きをする
嵐の一振りを下に受け流して懐へ一気に飛び込む
そこから体当たり等ではなく剣の柄をアゴ目掛けて突き上げる
所謂脳を揺さぶる技だ。だがかわされる
蒼麻「うんうん、そうそう。脳を揺さぶられたらどんな奴だって隙を見せちまうから避けるのは大正解だ」
如何やらわざと避けやすい様にしたらしい
戦いながらも指導する。同じ剣を扱う者同士なので参考になる部分も多い
といっても蒼麻の場合は半ば無自覚で行っているので、本当にそんな事を思って指導しているのかは謎であるが・・・
続け