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夢を見ている
いや、それは見ているというより体験している
自分の視点ではないのに右を向けば右を向く
これは誰かの記憶?
それとも過去の記憶?
既視感では無いのにそれを知っている
その後に何が起こるのかを自分は知っている
夢の中で床に伏している自分の目の前には
双子の弟に似た誰かが居た
自分とは違い元気な性格
外を走るのが好きだった
笑いながら学校であった事を話してくれた
俺がこんな体じゃなければ予知の一つでもしてやれたのに
葬式の時も泣いて俺を送ってくれた
墓前で子供を紹介してくれた
嬉しかったよ
こんな兄貴でも大事にしてくれたって事が
とっても嬉しかったよ

 

目を覚ます
覚醒していく意識を完全に起こし
俺は夢から覚める
何だろうか?
夢を見た筈なのにその内容が全く思い出せない

 

蒼麻「まあ、いいか。・・・今日もずっと晴れだといいな」

 

目を細めながら窓から差し込む太陽を見る

 


「素体の記憶:サイドA」
完 

 

 

 


夢を見ている
誰かの葬式の様だった
オレは泣いて、泣いて、沢山涙をこぼした
兄だった人が死の直前にオレに言った言葉を思い出す
「お前はお前の幸せをつかめ」
オレは前を向いた。これ以上泣いていられない
兄貴を思い浮かべながら一生懸命に前へ進んだ
三年の歳月が流れて妻を娶った
それから娘も授かった
兄貴が死んでから五年
オレは幸せだったよ
兄貴が言った通り幸せをつかんだ
だから・・・
次はオレの娘の番だよな?

 

目を覚ます
何時もより目覚めが良かった
夢を見た様な気がした
でも内容が思い出せない
とても懐かしい感じはしたんだが

 

赤「・・・朝飯作るか」

 

着替えて台所に支度をしに行く

 


「素体の記憶:サイドB」

 

 

 

■メモ■

彼等の見る夢は彼等の素となった者が見る夢

つまり彼等は生まれる前から兄弟だった

しかしそれを知るのは彼等の父親だけである

そもそも彼等は何故創られたのか、未だ神はその真相を話さない

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