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―――上の空と憂鬱は違う物です。

 

辰巳「如何した?何か・・・幸薄そうな顔してるけど」

 

遼亮「ああ・・・うん、色々とな」

 

遼亮から少し距離を取って辰巳は奈美菜とヒソヒソと話を始めた

 

辰巳「なあ、昨日の今日で遼亮、おかしくないか?」

 

奈美菜「そういえば辰巳君には言ってなかったけど・・・」

 

奈美菜は昨日あった事を話した

遼亮を追い詰めた先に誰が居たかを

 

辰巳「良い事じゃないか」

 

奈美菜「私の話聞いてた?」

 

奈美菜は辰巳の顔をよく見ながら訊く

しかし辰巳の目はとても輝いていて

 

辰巳「そうかぁ・・・天木先輩、復学するのかぁ・・・ふふ、ふふふふふ」

 

キモかった

この上なくキモかった

だから奈美菜はストレートに言った

 

奈美菜「辰巳君、目が変態のソレになってるし、口からは気持ち悪い声が出てるし、あと辰巳君キモいよ」

 

辰巳「前の二つはまだいいとして最後の酷くない?!ってかそれ本音だろ、間違えようの無い本音だろ?!」

 

奈美菜「えー、何言ってるの辰巳君。そんな訳無いって。私達友達じゃない」

 

辰巳「セリフが思いっ切り棒読みだし、そもそも目を見て話しやがれコンチクショー」

 

奈美菜「・・・さて、小芝居はこのくらいにして」

 

辰巳「うむ、これだけしても上の空とは。かなりの重症ですね」

 

遼亮の耳には二人の掛け合いは届いてないっぽかった

それだけ「天木先輩」なる人物は厄介なのだろう

そして朝の時間には先輩は現れなかった

つまり・・・現れるのは昼、もしくはそれ以降という事になる

そして昼。その時は来たのである

 

 

第十一話

「城戸遼亮の憂鬱」

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