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―――義理でも嬉しいモンは嬉しい。

 

木曜日。別に特別な日ではない・・・事もない

地域によってはプラモデルが捨てられる曜日らしいが、それも関係無い

では何か?

・・・バレンタインデーである

 

家を出た時、月子が眠たそうだった

斎と合流した時、凄く眠たそうだった

奈美菜と下駄箱で挨拶を交わした時、元気ハツラツだった

先輩に呼び出された時、妙に目が血走っていた。かなり恐かった

ヘッドロックを掛ける前に辰巳が地に伏していた。気にせずヘッドロックした

廊下を歩けば歓喜の声と嫉妬の表情。そして二種類に分かれる男子生徒

モテる奴とモテない奴だ

 

遼亮「・・・・・・」

 

需要と供給が世界の真理なら

モテるのとモテないのも世界の真理だなと考えながら北校舎裏に着く

木にもたれながらパンの袋を開けた

食事時くらい静かな方がいいと思ったからここに来た

食べ終わって横になっていたら眠気が襲ってきたが、別に抗う理由も無いので睡魔に屈した

 

「――――――」

 

まどろみの中で誰かの声を聞いた

でも睡魔には勝てないので意識は再びブラックアウト

唇に柔らかい感触があった

しかしそんな事も睡魔は奪っていってしまった

それだけ俺は眠かったんだろう

 

遼亮「っ!!」

 

起きた。どれだけ眠ったのかは分からなかった

俺の傍らには包みに入ったチョコがあった

誰がくれたんだろうか?

今日出会った内の誰かがくれたんだろうなと思いながら、予鈴が鳴ったので足早に教室に戻る事にした

さて・・・どの子がくれたんだろうか?

 

 

第十三話

「そのチョコ、誰のチョコ?」

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