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―――心のメモに追加。

 

『僕は君の全てを知っている訳じゃない。過去の君が何をしていたのかも知らない』

 

『でも・・・でもね?今ここに居る君は過去の君じゃない。君は変わったんだよ、生まれ変わったんだ!』

 

“私、本当に変われたのかな・・・?もちろんあなたの言ってる事が嘘だとは思ってないけど、私自身実感が無いの”

 

『それなら心配無いよ。だって僕の隣りに居るだけで君は笑顔になってくれるじゃないか』

 

『行こう!君にとっての幸せが待ってる世界へ!!』

 

画面の中の少年は少女の手を引っ張って駆け出す

草原には風が吹き、雲が流れる

 

遼亮「ほんの数話前まで鬱ムードだったってのに、最近のアニメはすげえな」

 

月子「やっぱり最終回なだけあって作画のクオリティが半端じゃないですね」

 

月子がパンをかじりながら言う

 

遼亮「クオリティの事は正直分からんが、何となく力が入ってる感じはあるな」

 

パンにブルーベリージャムを付けながら答える

というか朝に見る物じゃないだろ、これ

土曜日って何でこういう系統のアニメが多いんだろうか

モ○ファー然り、デ○チル然り・・・

小さい時の事を思い出しながらパンをかじる

 

遼亮「(そういえばあの頃は最後まで見てて、毎回遅刻ギリギリだったなぁ・・・)」

 

牛乳が入ったコップを傾けつつ、そんな事を考える

誰もが昔に帰りたいと思う。でも帰れないのもまた事実

目の前にある現実が嫌で逃避の為にそんな事を考える

後ろ向きでは真っ直ぐには歩けない

ちゃんと前を向いて歩かなきゃ、絶対道を踏み外す

・・・って

 

遼亮「(朝っぱらから何難しい事考えてんだ、俺は)」

 

しかもまるで誰かを諭すかの様な口調だったし

頭を振って霧散させる

多分、久し振りにアニメを見たからだな

そういや何で土曜日って学校あるのに朝にアニメしてたんだろうか?

すっげえ不思議だ

 

 

第十四話

「ある日の城戸家」

 

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