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―――はじめての。
斎「お邪魔しまーす」
綺麗に靴を並べて二階へ上がる
先輩の家に来たのはこれが始めてだと思う
恋人同士だから相手の家に行く事もある
今回だってそれ相当の理由で来ている
思い返すのは朝の会話
斎「えっ!?先輩、風邪を引いて休みなの?!」
月子「うん。応急処置だけはしてきた」
斎「ね、熱の方は如何なの?」
心配して訊ねる
昨日まであんなに元気だったのに・・・
月子「今朝測ったら40度近かったけど、薬を飲んだから少しは下がってると思う」
斎「そう、なんだ」
月子「・・・今日は用事が入っていて遅くなるかもしれないから、斎が看病してくれない?」
斎「え、私が?」
月子「ごめん。どうしても外せない用事だから・・・」
斎「あ、えっと・・・う、うん!私に任せて!!」
月子ちゃんが科薬者だという事は友達だから知っている
それ関係の用事だろうから仕方無いと考えて、『恋人だから』だけではなく、『友達だから』という理由で私は承諾した
先輩の部屋は階段を上って廊下の突き当たりと教えられた
カチャリ
そーっと開けるとベッドに横になっている先輩の姿を見付けた
顔がほんのり赤みがかっているけど、寝息も正常でよく寝ている
近付いて見てみると汗をかいたらしく寝間着が濡れている
私は深く考えずに先輩の寝間着に手を掛け
斎「脱がして汗を拭かないと・・・」
と、言った直後にバチッと先輩と目が合った
第十六話
「すごい気まずい」
完
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