―――女性が黄金の聖水的何かを途中で止められないというのは誤情報。
チャララチャッチャチャ~ン☆
そんな効果音が聞こえて来そうな雰囲気だった
しかし場所が場所であった
「・・・完成」
ここは城戸家・月子の部屋兼仮設研究室
大掛かりな設備は無いが基本的な物は全て揃っている
フラスコとか試験管とか、変な色した液体とか
そしてそんな実験器具が並べられた中央に彼女は居た
月子「『FATHER2』からヒントを得て開発した、この試験管ロケット!」
全身真っ黒な試験管を一本持って、月子は笑う
しかし、ふと思い出して目の前に置いてある試験管達を見る
月子「・・・・・・やめよう」
数十秒の思案の後、量産化した試験管ロケット(20本)を引っ掴むと失敗作用のトレイに置いた
そして何事も無かった様に次の実験に取り掛かった
この試験管ロケット、後に意外な活躍をするのだがそれはまたのお楽しみ
月子「・・・うっ!?」
突然の眩暈に襲われた月子は窓の鍵に手を伸ばす
よろめきながらも窓を開け放ち、外の空気を部屋の中に入れる
風が吹き込むと部屋の中に充満していた臭いが失われていった
月子「(危なかった。やっぱり中枢神経麻痺作用のある『芳香族炭化水素』を扱う時は換気は必要悪だったか)」
ここに来て自分の過ちに気付いてしまった
と、いうよりあちらに居た時も同じ事があった様な気がする
月子「(確かあの時は間違えて『NBS』と『AIBN』を混ぜて加熱したんだっけか・・・)」
あの時は本気で如何にかなりそうだった
まさかフタを開けたら『臭気ベンジル』が出来上がってるとは思わなかった
すぐに異変に気付いた同僚が窓から放り投げてくれて助かった
後ちょっと遅かったら強烈な催涙と不快感に失神していた事だろう
月子「・・・・・・」
ブルッ
思い出して全身が大きく震えた
決して、決してお花を摘みに行きたくなった訳じゃない
第二十話
「それダウト!」
完