top of page

―――名前も書かずに爆睡して赤点取った奴を知ってる。

 

2月25日、晴れ

快晴といっても申し分の無い天気

道を行く生徒達にもこれといって変化は無い

ただし隣を歩く少女は些か暗いムードの様だ

 

遼亮「如何した斎、そんな今にも世界が終わりそうな顔して」

 

斎「先輩にはそう見えますか?」

 

表情を変えずに訊き返してくる

正直質問に質問を返すのは如何かと思うが、今回ばかりは目を瞑る事にした

 

遼亮「ん?ああ。まあ、そういう顔してる斎も嫌いじゃないが心配にはなるな」

 

すると斎は遠くを見る様に言った

 

斎「先輩、明日何があるか覚えてますか?」

 

遼亮「明日?確か・・・期末テストだったか?」

 

斎「先輩って勉強は出来る方ですか?」

 

遼亮「そうだな。得意って程でもないけど、まあ全体的に平均だな」

 

斎「そうですか・・・」

 

斎の様子がおかしいのでそれとなく訊いてみる

何となく予想は付くが

 

遼亮「斎は如何なんだ?」

 

途端に口を噤んでしまう斎

如何やら俺の考えは的中した様だ

 

遼亮「まさかとは思うが・・・」

 

斎「クラスの中で一番なんですよ」

 

その言葉を聞いて拍子抜けした

何だ、俺はてっきり・・・

 

斎「・・・ただ、最後からですけどね」

 

てっきり・・・てっきり・・・

 

遼亮「そう、か・・・」

 

道の先に学校が見えてきた

これは何とかしないと、俺はそう思った

 

 

第二十一話

「最後から一番は辛い」

bottom of page