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―――作者は三年生の時に一次関数やってた記憶があります。

 

放課後になって帰ろうとしている斎に声を掛けた

一部の女子達から黄色い悲鳴が聞こえてきたが無視する

 

遼亮「今日はこれから俺の家で勉強会をするぞ」

 

告げると斎の手を掴んで教室を出た

後ろから女子達の黄色い悲鳴が再び聞こえたがこれも無視する

一々気にしてられるか

 

斎「あ、あの・・・先輩!」

 

斎の声で足を止める

見れば顔が仄かに赤くなっている

ハッと気付いて手を離す

 

遼亮「あ、いや・・・その、な・・・(////」

 

二人して赤くなっている

先に口を開いたのは斎だった

 

斎「手・・・握って下さい(////」

 

遼亮「あ・・・・・・ああ(////」

 

ギュッと握る

温かい

今は冬だけど、それでも握る手の感触はとても温かい

 

遼亮「何か・・・恋人やってるな、俺達」

 

ボソッと言った

言葉は果たして斎の耳に届いたらしく

 

斎「そう、ですね(////」

 

恥ずかしそうに俯きながら呟いた

所変わって俺の家

明日の期末テスト、斎の為に一肌脱ごうという結論になった

そのままの意味でも俺は一向に構わないんだが

 

遼亮「さて・・・まずは何の科目が苦手なのか言ってみろ」

 

斎「数学です」

 

遼亮「数学の?」

 

斎「2次式の因数分解がちょっと自信無くて・・・」

 

遼亮「じゃあ教科書を貸してくれ」

 

斎に教科書を貸して貰い、基本問題を読み上げる

 

遼亮「公式「ma+mb=m(a+b)」を使い、5x²y+20xy²を因数分解しなさい」

 

斎がノートに答えを書いていく

そのシャーペンの動きには一切の迷いも感じられない

 

斎「終わりました」

 

斎はやり終えた顔でそう言った

俺はノートに目をやって答えを確認

 

遼亮「あー・・・着眼点は良いんだが、一つだけ言える事がある」

 

斎は頭の上に?を浮かべている

 

遼亮「斎の書いた答えは5(x²y+4xy²)だけど、因数分解っていうのは共通因数が残らない様に答えを求めないといけないんだ」

 

遼亮「つまりx²やy²が存在していては駄目だって事だ。それを踏まえた上で計算すると・・・」

 

5(x²y+4xy²)=5xy(x+4y)となる

これは他の問題でも当てはまる事だが、たまに何人かが引っ掛かる

それから何問かの問題を出題し、それに正当な答えを斎は導き出せる様になった

俺は斎の成長振りに嬉しくなって頭を何回か撫でてやった

斎はくすぐったそうに目を細めてされるがままになっていた

 

 

第二十二話

「甘ったるい」

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