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―――作者も当時欲しかった。
それから一週間
テスト返却日になった
教室の其処彼処で少数の悲鳴が上がる
俺の右の席からも呻き声が聞こえて来る
「う゛ぅあ゛あ゛ぁぁぁぁ・・・」
遼亮「お、おいおい、せめてこの世の声で呻いてくれよ」
その声の主、まさかの辰巳である
辰巳はウチのクラスでも頭が良い方の分類に居る
その辰巳が呻いているという事は、相当ヒドい点数だったのだろう
辰巳「俺のいちごーがぁ・・・俺の夢がぁ・・・」
遼亮「一万五千円が何だって?」
辰巳が言うには今回のテストで、オール90点行けばいちごー(一万五千円)を貰えたらしい
何というか・・・何でそんな条件を付けた
俺が呆れていると辰巳は
辰巳「いちごーあれば『再販バージョン帝国ドラゴン・聖騎士モード』が買えるだろうが!!」
キレられた
というか、今懐かしい名前を聞いたぞ
遼亮「帝国ドラゴンって昔やってたアニメのか?」
辰巳「そう、未だ人気の衰えないアニメ『ロスドラ』の第二期に登場した最強のドラゴンだ!」
遼亮「そういえば当時CMで流れてた様な・・・」
辰巳「そうそう、それが再販するっていうから買おうと思ったら、今月の小遣い使った後だったんだよ・・・」
あ、ヘコんでる
というか高校生にもなってオモチャを買うのか
あ、いや、食玩を大人買いしてる奴を知ってるから悪くも言えないか
そんな辰巳を放って自分の答案用紙に目を向ける
全然勉強してなくても何とかなるモンだな
辰巳の総合449点には劣るがまずまずの点数だ
さて、
遼亮「(斎の点数に期待するか・・・)」
第二十五話
「テスト返却日」
完
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