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―――そして物語は加速する。

 

HRが終わったので鞄を手に斎の教室まで向かう

教室の前まで着くと、如何やらまだ終わっていないらしくザワザワと騒がしい

仕方無く廊下で待つ事にする

そうこうしていると携帯が震えた

 

遼亮「メール?誰からだ?」

 

タイトル:親愛なる無知の協力者へ

本文:今後の展開には君の力が如何しても必要だ。

こちらで協議した結果、君には全てを包み隠さず打ち明ける事になった。

今週の土曜、岬ヶ丘大学に来てくれたまえ。

ただし、君が本当に真実を受け入れる覚悟があればの話だが。

 

遼亮「・・・迷惑メールか?」

 

だがその文面からは何か言い知れない物を感じる

それは恐怖の様な物ではなく、一種の胸騒ぎの様な物だ

俺はもう一度メールの文章を読む

引っ掛かるのは「親愛なる無知の協力者」と「全てを包み隠さず打ち明ける」という言葉だ

親愛なるなんて言葉を使うという事は、かなり身近な人だという事

全てというのが何を意味しているかは分からないが、こんなメールを送って来たのだから重要な事なのだろう

それが俺にとって有益なのか如何かは知り得ないが・・・

 

「・・・い・・・んぱい・・・先輩!」

 

遼亮「ん・・・うわっ!?」

 

携帯から顔を上げると目の前には斎の顔があった

 

遼亮「あ、あれ・・・HRしてたんじゃなかったのか?」

 

斎「さっき終わりましたよ。それより如何したんですか?声を掛けても気付いていない様でしたし・・・」

 

ああ、考えに没頭し過ぎたのか

これは悪い事をしたな

 

遼亮「ああ、いや、すまん。それはそうとテスト如何だった?」

 

斎「何か話を逸らされた気がしますけど・・・・・・先輩のお陰で最下位脱出しました!」

 

斎は鞄からテストの答案用紙を出して俺に掲げて見せた

数学:88点

現国:74点

英語:60点

化学:99点

地理:67点

 

遼亮「お、結構良い点数じゃねえか」

 

斎「はい、先生に褒められました!」

 

まあ、化学はやっぱり実験道具の名前で凡ミスしてるけど

そして英語も一夜漬けでは大して効果を発揮出来なかったらしい

 

 

第二十六話

「予兆」

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