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―――女には沢山の秘密がある物だ。

 

岬ヶ丘大学

生体科学に重きを置く県内でも稀有な大学である

遼亮は大学を前に立ち尽くす

何故ここなのだろうか?

疑問が湧いたが答えてくれる者は居ない

 

「お待ちしておりました」

 

声が響く

目を向けると門の前にツインテールの女の子が立っていた

白衣を着ているところを見ると、如何やら大学の人の様だ

 

遼亮「えっと・・・貴女がメールの差出人?」

 

「いいえ、私はただの助手です。それでは、どうぞこちらへ」

 

遼亮「あ、はい」

 

俺は言われるまま彼女について行く

白い壁、白い床の廊下をひたすら奥へと歩く

そうして行き着いた先のドアには「立花生体科学研究室」と書いてあった

女の子がドアを開ける

 

「博士、お連れしました」

 

「ああ、ご苦労様」

 

遼亮「え・・・?」

 

答えた声の方に目を向けて俺は呆然とした

 

「はじめまして・・・ではないか。また会ったな、城戸少年」

 

その声、その姿に見覚えがあった

言葉を失う位の美貌

その砕けた口調

 

遼亮「幟月、さん?」

 

幟月「ああ、そうとも。私が君にメールを送った張本人の立川幟月だ」

 

幟月は不敵な笑みを浮かべながら答えた

 

 

第二十七話

「妖艶」

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