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―――最高の親友。

 

月曜日

週末にあんな事があってから二日経った

それでも俺は普通だ

普通で居なきゃいけない

事実が何であろうが、俺が斎を好きなのは変わらないから

 

辰巳「何かテンション低くないかい、遼亮くん?」

 

日常が元気な顔してやって来た

日常。こんな言葉を使わなくても俺の周りには日常が溢れている筈なのに

 

遼亮「俺だってテンション低い時もあるっつーの」

 

辰巳「んー・・・・・・あの日か?」

 

遼亮「どの日だ」

 

即座にツッコミ

女の子にそういう日があるのは知ってるが男は知らんぞ

まさか俺が知らない間に出来たのか?

 

辰巳「ほら、男なら誰でもある前日にやり過ぎたっていう・・・いだだだだっ!!」

 

遼亮「お前はっ、いっぺんっ、地獄で頭冷やして来いっ!!」

 

何を校門前で口走ってやがる

・・・しっかし、久し振りにヘッドロックをした気がする

あれ、何時もたっつーに会ってる筈なのにおかしいな?

 

辰巳「遼亮さん遼亮さん、かなりサラリと恐ろしい事を言っておられますが?」

 

遼亮「おっと、こんな所に物凄く絞め易そうな首が」

 

辰巳「痛い!痛いですよ!?何かパワーアップしてる気がしますよ!!?」

 

遼亮「知ってるかー、ヘッドロックって首を絞めるんじゃなくて頭蓋をずらすらしいぞー?」

 

辰巳「死亡フラグ!?俺の死亡フラグ立ってる!?」

 

涙目になってきたのでパッと手を離す

少し首をさすりながらたっつーが不思議そうに訊ねてくる

 

辰巳「如何したんだ?何時もなら俺が落ちるまでやるのに・・・」

 

遼亮「それを当人から言うのも情けなく思えるが、まあ、その、何だ」

 

ごにょごにょと口の中で考えて出した言葉は、あまり大きな声ではなかった

 

遼亮「何時もすまん」

 

何故だか感謝の言葉だった

案の定たっつーは目をぱちくりさせる

 

辰巳「ヘッドロック、とかの件じゃなさそうだな。何があったか知らんが、親友として当然の事をしたまでだと言っておこう」

 

今度は俺の方が目をぱちくりさせる番だった

しかしすぐに破顔して一言

 

遼亮「調子に乗んなコノヤロウ♪」

 

最高の笑顔と共にヘッドロック再開

 

辰巳「遼亮、照れ隠しでヘッドロックは人として如何かと思・・・ギブ!ギブ!らめえぇっ!!首が胴体からオサラバしちゃうぅっっっ!!!」

 

遼亮「変な声を出すんじゃねえ!!」

 

 

第三十話

「常と非常の境目」

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