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―――このバカップルめが。

 

昼休みになったので何時もの場所で昼飯と相成った

持ってきた弁当の包みを開いている斎を視界に納める

途端、二日前に告げられた言葉がよみがえる

「斎は人間じゃない」

あの場では真っ向からぶつかったが、冷静になって考えてみると俺はまだ決意が足りていないのかもしれない

口では何とでも言える

守るだの立ち向かうだのなんて子供でも言える

俺は果たして斎と歩いていけるのか?

とてもじゃないが一人では無理だ。そんなのは最初から解っている事だ

でも、だからこそ目の前の大事な人にこれだけは言いたい

 

遼亮「斎」

 

斎「はい?何ですか先輩?」

 

遼亮「どんな事があっても俺は斎を守るから、だから・・・俺を置いて消えたりしないでくれ」

 

覚悟をしていたのに何故か声は震えていた

俺は今どんな顔をしているのだろうか

 

斎「・・・・・・大丈夫ですよ、先輩。私はあの時からずっと先輩の隣に居るって決めたんですから」

 

遼亮の突然の願いに何かを悟ったのか、表情を驚きから微笑に変えた

優しく、それこそ壊れ物でも扱う様に優しく遼亮を抱きしめる

母親の様に優しく、泣いてしまった子供をあやす様に優しく

 

遼亮「(ああ、そうか・・・やっと解った気がする)」

 

斎「さ、お弁当を食べましょう先輩。じゃないとお昼休み終わっちゃいますよ?♪」

 

笑顔が見たいからとかだけじゃない

斎の色んな表情が見たいから

斎の色んな一面を見たいから

だから、俺は斎と歩いて行きたいんだ

 

遼亮「・・・ああ、早くしないとデザートが食べられなくなるからな」

 

斎「今日はデザートはありません・・・け、ど?」

 

?を頭の上に浮かべる斎にソッと耳元で囁く

離れて数瞬して意味が染み渡ったのか勢い良く赤面した

いわゆるゆでダコ状態というやつだ

 

斎「せせせ先輩!そ、そそそそそういうのは学校でしちゃだ、あ・・・にゃ、にゃー!!(////」

 

見事にパニックになり過ぎて面白い事になっている

学校がダメなら他の・・・例えば俺の家では良いんだろうか?

ただし、これ以上言うと本気で昼休みが終わりそうだから又の機会にしよう

それにしても斎は弄り甲斐があるなぁ

 

 

第三十一話

「キミの隣に居る理由」

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