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―――三年越しの・・・。

 

くきっ

何やら小気味良い音が鳴った

それは誰かが足をつまずいた音だった

 

蟹崎「わわっ、そこの人ちょっとどいてー!!」

 

「え?」

 

むちゅっ

何やら柔らかい効果音が鳴った

それは誰かと誰かが(主に男女が)不意打ちのキスをした音だった

 

蟹崎「んぅっ!?(////」

 

「んぅっ!?」

 

その時たまたま通り掛かった生徒会長は卒倒した

メイドは主人を助けるよりもまず「その手があったか」と素直に感心した

二人は重なり合ったまま気絶した。キスとは関係無しに男は後頭部を思いっ切り打ったのである

それまで呆けていた周りは我を取り戻し、急いで二人を保健室へ運ぼうとする

辰巳は「これは永久保存版になるぞ!誰かカメラを早く!!」とか言って廊下の真ん中で叫んでいたが、搬送の邪魔になるので佐ノ口によりシャイニングウィザードで沈められた

それからしばらくして男は保健室で一人目覚めた

 

「・・・う~ん?いつっ!何でこんなに後頭部が痛いんだ?」

 

未だに状況を把握出来ていない男の名は城戸遼亮

まさか振り向いた直後に女の子がぶつかって来るとは思ってもみなかった運の悪い奴である

何かしらの後遺症なのか、頭がボーっとしているがそれ以外は至って健康

足がおぼつかないとか視界が霞むなんて事も無い

取り敢えず頭が揺れるので体を支えるべく右手を床に置いた、と思ったら

ふにょん

何やら物凄く柔らかい感触がした

 

遼亮「何だこのマシュマロみたいなの?」

 

直に見ればいいのに手探りでその物体を撫で回す

遼亮弾力があって押せば沈み、離せば戻る

幼い頃に遊んだ水風船を思い出した。あんな感じと似てるし

 

遼亮「いやいや、水風船が学校にある訳、が・・・」

 

目が合った

視線と視線がぶつかる。凄く気まずい

結論から言おう

遼亮が触っていた物はマシュマロでも水風船でもなく胸だった

バストとも言うしおっぱいとも言うし双丘とも言う

ある界隈ではパイオツニアというおっぱいを愛する人達が居るらしい

それはさて置くとして

遼亮は全力で謝った。土下座だった、土下寝でもこの際良かった

 

遼亮「ごめんなさい!本当にごめんなさい!悪気は無いんです、この通りですから!!」

 

蟹崎「え、いや、ちょっ、そこまでしなくていいから!」

 

慌てた。何で謝られてる方が慌てるのかは分からないが慌てた

 

遼亮「何でもするから許して下さい!!」

 

尚も土下座で謝る遼亮

その何でもない言葉に蟹崎郁美は決心した

 

蟹崎「そ、それじゃあ・・・(////」

 

その日、昔捨てた筈の淡い恋心が静かに胸の中に戻った

 

 

第三十四話

「恋ってどんな色?」

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