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―――それは静かに忍び寄る。

 

遼亮「あったま痛え」

 

月子「自業自得だと思います」

 

遼亮「ぐぬぅ」

 

兄妹仲良く歩く通学路も今の遼亮の状態からしてみれば苦痛であった

別に妹と一緒に歩くのが嫌だという訳ではない

世間一般から見ても城戸兄妹の仲は良好といえる

では何故かと言えば原因は遼亮の頭の中にあった

いや、別段遼亮の頭が馬鹿になったとかそういう事ではなく、単なる頭痛である

そういう少しの事でも刺激になる様な要因を孕んでいる現状の時に

そう、こういう時に限って奴が来る

 

辰巳「おっはよう、遼亮♪」

 

たっつーである

まるで珍妙奇天烈な生物を紹介するみたいに説明したが、たっつーである

まかり間違っても奈美菜ではない。ましてや瑞華さんでもない

むしろ瑞華さんなら献身的な看護をしてくれるだろう。頼んでもいないのに

 

辰巳「・・・おかしい、何時もなら出会って早々にヘッドロックを仕掛けて来る筈なのに」

 

眉間にシワを寄せて推理タイムに入るたっつー

しかし前回も似た様な事を言っていた気がするが、この男の頭の中には「対抗」という文字は存在しないのだろうか?

毎日同じ結果にしかなっていない様な気がする

 

辰巳「お前、遼亮じゃないな!・・・いや、その推理は月子ちゃんが居ない場合の結論だから違うか」

 

当人を置いてきぼりにしたまま、たっつーは尚も推理タイムを続行

誰か止めろと

 

奈美菜「何やってるの辰巳君?二人とももう行っちゃったよ?」

 

辰巳「あるぇー!?これから俺の名探偵顔負けの推理が始まるっていうのに!!」

 

奈美菜「あれ、ただの頭痛だと思うけど」

 

辰巳「山辺って名探偵だったのか!?」

 

奈美菜「何で辰巳君ってテストで良い点取れるのかな・・・?」

 

宇宙の神秘だ、諦めろ

 

 

第三十七話

「本日のヘッドロック回数:0回(最高新記録)」

 

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