top of page

―――皆から愛されてます(色んな意味で)。

 

学校以外では呼び慣れていないあだ名を聞いて私は少し恥ずかしくなる

先輩も初めて聞いたその名に驚きを込めて訊き返す

 

遼亮「斎にゃんって・・・ネコ要素は何処にあるんだ?」

 

月子「ネコ耳を付けたら似合いそうだからって満場一致で決まりました」

 

遼亮「面白そうなクラスだなぁ。しかしネコ耳か・・・・・・うん、確かに似合いそうだな」

 

先輩が私の頭を見ながら頷く

うぅ、何だかさっきより恥ずかしい

 

月子「それで、何の用件で来たの?」

 

思い出したのか月子ちゃんが再び訊いてくる

 

斎「えっと、先輩に会いに・・・」

 

月子「ごめん、気付かなかった。私が居ると楽しめないよね」

 

斎「え!?ちょ、月子ちゃん、誤解、誤解だよ!私はただ先輩の家に遊びに・・・!!」

 

月子「成程。そういう行為は他人に悟られない様に隠語を用いると言われるけど、斎にゃんの場合は『遊び』という言葉を用いる訳ですね」

 

メガネをくいっと動かしながら言い放つ

しかも妙に自信満々に言っているので、これはもしかしたら正解だと思っているのかもしれない

でも違う、違うの月子ちゃん!

誤解が修正されないままどんどん妖しい方向に行っている

どこかでちゃんと誤解を解かないと、このままじゃそんな事ばかりしてる女の子と間違われちゃう!

 

斎「違うの月子ちゃん、私は本当に先輩の家に単純に遊びに来ただけなの!信じて!!」

 

私の真剣な眼差しに月子ちゃんはしばし口を噤み、やがてゆっくりと口を開き・・・

 

月子「クラスの皆さんが言った通りです。やはり斎にゃんは弄り甲斐があります」

 

なんてメガネを光らせながら言ってのけた

 

斎「はぇ?」

 

遼亮「一本取られたな」

 

斎「冗談・・・だったの?」

 

月子「うん。斎にゃんがそういう子じゃないって事、よく知ってるから」

 

斎「・・・はぁ、びっくりした~」

 

月子「それに本当にそういう行為をするんなら、私が居ない日か違う場所ですると思うし」

 

ぼそっと付け加える

それを運悪く聞いてしまった遼亮は苦笑交じりに斎の頭を撫でた

斎は聞きそびれたのか、遼亮の頭なでなでの意味が分からず?マークを浮かべた

 

 

第四十話

「弄り甲斐のある娘」

bottom of page