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―――その読みは正しいのに。

 

物陰に潜んでいる影が三つ

その影達の前を行く何も知らぬ男が一人

 

斎「あの、先輩。やっぱりこういう事は如何かと・・・」

 

遼亮「斎だって気になるだろ?最近のアイツの不可解な行動がさ」

 

月子「・・・正直昔から変わっていないと思います」

 

そう、物陰に潜んでいる三つの影は下から月子、斎、遼亮なのである

何故そんな事をしているのかというと・・・

時刻は少し前に戻る事になる

 

遼亮「あー、終わった終わった。たっつー、帰ろうぜ!」

 

辰巳「あ、すまん遼亮。今日は用事あるから先に帰るわ、じゃ!」

 

遼亮「・・・・・・怪しい」

 

そんな訳である

 

遼亮「絶対怪しいぞ。これはエロティックな予感がする」

 

斎「まだそうと決まった訳じゃ・・・」

 

月子「普段の変態トークはブラフという可能性もありますね」

 

苦笑する斎に真面目に考察する月子

そこに野次馬根性も混じっている遼亮を合わせれば、最早誰か止めろといった風になる

そんなこんなで物陰でずっと息を潜めている三人

そんな事は露知らず、たっつーは目的の場所に着いた

 

遼亮「さて何処だ?!・・・・・・って、此処フラミセじゃん」

 

斎「フラミセ?」

 

月子「正式名称フラワーミセス。ありきたりなファミリーレストランです」

 

遼亮「確かバイトは禁止されてるよなぁ」

 

生徒手帳をめくりながら確認する

やっぱり禁止されてる。それじゃあ何故?

 

「お待たせ、辰巳君!」

 

辰巳「ん、ああ、俺も今来たトコだよ」

 

辰巳の向かいの席に座ったのは皆知ってる顔だった

 

遼亮「奈美菜じゃん」

 

斎「教科書とかノートを広げてる所を見ると、如何やら勉強会の様ですね」

 

遼亮「うわ、興醒めだ。斎、月子、帰るぞ」

 

肩をガックリと落として帰路に着く遼亮

その後を慌てて着いて行く斎

一度だけ辰巳達の方を見てから歩いて行く月子

それをフラミセの窓から眺めながら辰巳は静かに口を開いた

 

辰巳「やっと帰ってくれたか」

 

奈美菜「辰巳君、やっぱり言った方がいいんじゃ?」

 

辰巳「今のアイツは色々と忙しいみたいだから、もう少し日を置いてからの方が俺はいいと思うけどな」

 

奈美菜「忙しいんなら仕方が無いかぁ」

 

辰巳「それより何て言うつもりなんだ」

 

奈美菜「え、それはほら、正直に私達付き合ってます!って」

 

辰巳「インパクトに欠けるんだよなぁ。実はもう肉体関係まで結んでます!とか如何だ?」

 

奈美菜「それはちょっと・・・恥ずかしいかなぁって(////」

 

辰巳「何時もコスプレHを不満も言わずに承諾してくれるお前が気弱で如何するよ」

 

奈美菜「ソレとコレとはベクトルが違うよ。というかこんな所で言わないで~!(////」

 

・・・・・・何このバカップル二号

真実は当人達の心の中だけに

 

 

第四十二話

「そこまでは予想してなかったわ」

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