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―――誰が呼んだか三八トリオ。

 

「それでですね・・・ってちゃんと訊いてますか、先輩?!」

 

遼亮「あ、ああ、訊いてる」

 

何でこんな事になってるんだろうか

俺の前で興奮気味に喋っている女子生徒が一人

その両側には委員長風な子とツインテールの子が座っている

先に言っておくと、ここは俺の教室ではない

本当に何でこんな事になってるんだろうか

事の始まりは斎を教室まで迎えに行った時だった

 

遼亮「えっと、斎居るかな?」

 

女子1「斎にゃんですか?えーっと・・・そういえば何処行ったん?」

 

女子2「焼却炉にゴミを捨てに行った筈だが・・・栗ぽんよ、君はまた人の話を聴いていなかったのかい?」

 

女子3「だってそこが栗ぽんの長所だしね♪」

 

栗ぽんと呼ばれた少女の名前は栗林法美

委員長風の子は柿島日奈子。あだ名は柿ピーらしい

ツインテールの子は桃川歌恋。この子は何故か桃んがーとの事

何度も斎を迎えに行っていたので、もうかなりの顔馴染みになっている少女達である

その彼女達に「帰って来るまでここで待つよ」なんて言ったのがそもそもの原因だった

そして何時の間にか始まっていたガールズトークに強制参加させられている自分

 

栗ぽん「聴いて下さいよ先輩、桃んがーの奴この前知らない兄ちゃんと歩いてて・・・」

 

桃んがー「だからそれは従兄妹のお兄ちゃんだって~」

 

柿ピー「ほお、昨今の従兄妹はディープなキスをするのが流行っているのか」

 

桃んがー「ななな、何でそんな事まで知ってるの~?!」

 

柿ピー「いや、鎌をかけてみただけだ」

 

栗ぽん「マジでか!あの兄ちゃんロリコンじゃねーか!?」

 

やいのやいのと楽しく話をしている三人を前に困った風な遼亮

話の中に出て来た従兄妹の兄とやらがロリコンか如何かは定かではないが、桃んがー自身がロリ体型である事は失礼ながらも十分に肯定出来た

だがその事実を公言する事は流石に憚られる

後輩だからと現実を突きつけても良い事は全く無い

と、あまりにも困っている所に漸く斎が帰って来た

 

斎「ただいま~・・・ってあれ、先輩?」

 

遼亮「おかえり、ゴミ捨てにしては遅かったな」

 

斎「お姉ちゃんと話していたので・・・」

 

如何やら近くを通り掛かった幟月さんと話をしていた様だ

 

柿ピー「ふむ、斎にゃんの姉君は大変綺麗な方だと聴いているが」

 

栗ぽん「ウチの男子共が見てたら骨抜きにされそうだよなー」

 

桃んがー「うんうん、私もあんな大人になりたいな~♪」

 

栗ぽん「そいつは無理じゃね?」

 

柿ピー「いや、毎日牛乳を飲めばなれ、る・・・筈だ。多分」

 

桃んがー「い・・・いいもーん!お兄ちゃんは今の私のままで良いって言ってるからいいもーん!!」

 

本当にそう言ったのなら、やっぱり件のお兄ちゃんはロリコンなのかもしれない

そんな事を思いながら斎と一緒に別れを告げて教室を後にした

季節はいよいよ本格的に春を迎える頃合いだった

 

 

第四十八話

「お節介な春が来ました」

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