―――恋する花はどんな花より綺麗である。
時間というのは早いもので、とうとう四月がやって来た
HRが始まる前のガヤガヤと騒がしい教室
何時もの様にたっつーや他の奴等と喋っていた俺は、まさかこの日あんな事が起きようとは思ってもいなかった
「オラ、お前等席つけー!」
我がクラスの担任である炎馬椿が何時ものジャージ姿で怒鳴る
皆も毎度の事なので素直に従って席に着く
椿「聞いて驚け、ウチのクラスに転校生が来たぞ!」
佐ノ口「え、マジで!?」
椿「というのは嘘だ」
寅川「何だ、嘘か。びっくりしたー」
須藤「だよなー、ウチみたいな暴力教師の居るクラスに転校生が来る訳無いもんなー!」
椿「というのも嘘だ、今日はエイプリルフールなので嘘を吐いてみた。それとお前は後で職員室な」
天海「せんせー!男ですかー?女の子ですかー?」
天海の言葉に炎馬ティーチャーは扉の外に目をやると、意味深な笑みで答えた
椿「隅々まで調べてはないが、男という事は無いだろうな。まあ最近では女装少年とかいうのが流行っているらしいが・・・」
そのあまりにも唐突な言葉に人知れずビクッとしてしまう遼亮
いやいや、気付いてる筈なんか無いさ
ソレを知ってるのは自分だけなんだから、ハハハハハ
みたいな感じに心の中でアメリカンなトークが繰り広げられた
でも正直本気で冷や冷やした。そして動悸が凄い
椿「星辰から来た乾だ、お前等仲良くしろよ!」
乾「乾恋花です、皆さんよろしくお願いします!」
星辰といえば私立の進学校として有名なんだが・・・
何というか、そういうのとは全く関係の無い様な元気な女の子がそこに居た
教室の中を見回していた彼女の目が一点で止まった
そして何を思ったかその場所まで歩いて行き、興奮気味に言い放った
恋花「私と付き合って下さい!!」
たっつーに、である
その瞬間クラスの気持ちは一つとなり、一人のタイミングもズレる事無く驚きの声を上げた
これが後に言う「第一回・辰巳の変」である・・・かは定かではない
第四十九話
「考え直せ」
完