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―――科学と薬学の融合。

 

辰巳「はー、しっかし月子ちゃんが帰ってくるとはなあ・・・」

 

奈美菜「え、うそ!?月子ちゃん帰ってきたの?!」

 

奈美菜が人一倍驚いた

ここは教室。ちょうど一時間目が終わったところ

 

遼亮「ああ、何か実験が一段落したとか如何とか・・・」

 

月子は最先端の科学技術を学ぶ為に海外へ留学していた

何故中学生の女の子がそんな事をしているのかと聞かれれば

我が家で一番頭が良かったからとしか言えない

特に科学関係は吸収率が高かった

そこに目をつけたやつが居た・・・と、そんな感じだ

 

奈美菜「何だっけ?月子ちゃん達の総称。カガクシャとかそっち系の」

 

「カヤクシャ、です」

 

声のする方を見るとドアの所に月子が立っていた

こちらに歩いて来た月子は近くのイスに座った

 

遼亮「今朝もそうだったけど、今日は何か積極的だな」

 

月子「近日中に面白い事が起こりそうなので。それで先程の続きですが・・・」

 

月子「カヤクシャとは科薬・・・つまり科学と薬学を組み合わせた技術の事です。一般的にはバイオテクノロジーと混同されがちではありますが、わたし達の行おうとしている事は生体の復元と修正、免疫力増加と骨格強化です」

 

辰巳「お・・・おお゛?」

 

月子「体内物質の増幅による身体への実害を調査し、いかに良い方向に移行出来るか。未だ発見されていない未知の病原菌に対抗出来得るワクチン等の早期開発もさることながら、事故などで損傷した部位の完全復元を可能にするという目標を掲げており、各国からの支援によって我が組織が運営されている状況を鑑みると・・・」

 

遼亮「ストップ!ストップだ、月子!このままだと頭がオーバーヒートしちまう!」

 

奈美菜なんか知恵熱が出てる気がする

ってか、目ぇ回してないか?

 

辰巳「い、いかん。次は古文の授業だというのに今から頭が痛い」

 

遼亮「いや、すまん。ほら、月子も一緒に謝る」

 

月子「すいませんでした。専門の話をし始めると熱が入ってしまって・・・」

 

それは職業病というやつだろう

ぶっちゃけ俺もよく分からんし・・・

その日、三人は頭が痛いと揃って保健室に横になりに行ったそうな

 

 

第五話

「科薬者」

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