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―――だが彼女はかなり出遅れている。

 

前日の辰巳の啖呵を見ていたクラスメート達は彼の事を見直したと口々に言う

まあ、ずっと変態で通っているクラスメートがまともな事を言えば、頭がイカれたと取るか見直すかのどちらかしかないだろう

ただ、彼等にとっても辰巳にとっても完全に想定外の事が起こってしまったのであるが・・・

 

恋花「おはよう、たっちゃん♪」

 

クラスが凍り付いた瞬間であった

失恋の影響で髪をバッサリ切るとか、数日をどんよりとした表情で過ごすとか考えていたのでその様子は流石に想定外だった

 

辰巳「昨日の今日で随分と機嫌がよろしい様で・・・というか、たっちゃんて何さ」

 

恋花「苗字が辰巳だからたっちゃんだよ、可愛いでしょ♪」

 

辰巳「いや、可愛いとかじゃなくて、何か何処かの野球漫画の主人公思い出すからやめて」

 

著作権的な意味もあるけど、アレと変態を一緒くたにするのは如何考えてもヤバイ

そう言うと恋花は思いの外スッパリとやめた

その直後に出されたB案である「ともちゃん」も即座にストップが掛けられたが

 

須藤「つか、諦めたんじゃないのかよ」

 

天海「あの流れは確実に夜に布団の中で泣くパターンだよね」

 

恋花「泣く暇があるなら、私はその彼女を打ち負かす方を選ぶよ」

 

遼亮「メンタル強過ぎだろ・・・」

 

遼亮が辰巳に同情しているその少し後方で

「泣く暇があるなら」の部分をバッチリ聴いていた蟹崎さんは、己のメンタル面の弱さに一人落ち込んでいた

 

恋花「何時か私の方が可愛いって言わせてあげるから覚悟してね!♪」

 

辰巳「はぁ、もう矢でも鉄砲でも持って来いってんだ・・・」

 

椿「ほお、それじゃあコレでも喰らっておけ」

 

何時の間にか来ていた炎馬ティーチャーがブンッとチョークを投げた

それを寸分の狂いも無く眉間にヒットさせると、白い粉を貼り付けたまま辰巳は音を立てて倒れた

 

椿「HRはもう始まってんだよ。何時までもバカやってんじゃないよ」

 

そんな炎馬ティーチャーの現在の趣味はダーツであった

 

 

第五十二話

「何があってもめげない」

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