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―――出逢った瞬間、彼女の物語は動き始めた。

 

始まりはポストに入っていた一通のメール便だった

 

遼亮「・・・何だ、これ?妙に分厚いな」

 

それはメール便というより小包レベルだった

確かに宛先は城戸家となってはいるが、差出人の名前が書かれていない

振ってみるとカラカラと軽い音がした

疑問は残るが其処にずっと立っていても状況は変わらないので、取り敢えず家の中に入る事にする

カッターナイフで綺麗に封を開けると、中から一枚の封筒とゲームソフトが出て来た

 

遼亮「・・・・・・何となーく、嫌な予感が・・・」

 

ゲームのパッケージを眺めてみる

対応ハードは我が家にもあるQuickStation2(QS2)だったので、まずは第一の問題はクリアである

これでZeroBOXとかMiiとかだったら如何しようかと思った

ジャンルは恋愛シミュレーション。正直初めてやるジャンルだが何とかなるだろう

 

遼亮「説明書は・・・まあ、詰まったら見ればいいか」

 

これを送ってきた名も知らぬ人の事は一先ず頭の隅に置いておく事にする

わざわざゲームをくれたんだ。やらないのは送ってくれた人に対して申し訳ない

CDをケースから取り出すと遼亮はゲームを開始した

同時刻

城戸家を目指して立川斎が歩いていた

今日は土曜日。昔なら半ドンだったのが休みになっているのだから法律も捨てた物じゃない

と、いうのは置いといて・・・

今日は城戸家にお泊りの日なので斎の足取りは軽快なものだった

 

斎「(先輩と布団の中で・・・ふふ♪)」

 

中々よろしくない妄想をしながら城戸家までの道のりを歩く

最早勝手知ったる何とやら。自然に玄関を開けて声も掛けずにお邪魔します

付き合ってたった三ヶ月だが、そこまでの信頼関係は既に培っていた

丁度台所から顔を出した月子に挨拶をして二階へ

これまたノックも無しにドアを開け部屋の主に笑顔で声を掛けた

 

斎「先輩、お邪魔してま~・・・はぇ?」

 

何やらテレビの前で頭を抱えて唸る遼亮を発見

何事かとテレビの方を見ると・・・

無駄にピンクピンクした画面が映っておりました

 

 

第五十三話

「製造元:ハープサウンド」

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