―――超最速クリアー。
私は天木琴音。今をときめく高校二年生(彼氏いない暦=年齢)
私は今パンを口にくわえて走っている
はしたない事だとは分かっているけど、遅刻しそうなのだから仕方が無い
曲がり角に差し掛かった所で誰かにぶつかった
私は突然の事に尻餅をついてしまう
そんな私に差し伸べられる男性の手
「大丈夫?」という優しい声に、私の心臓は張り裂けそうな位に高鳴る
そしてその後、二人は偶然再会を果たし・・・
琴音「・・・という所で先生に起こされたんです」
「成程、それは悪い事をした。今後は気を付けるよ」
辰巳先生が眼鏡の蔓を動かしながら申し訳無さそうに言う
私は溜め息を一拍吐くと窓の外を眺めた
青い何処までも続く様な空が私に微笑んでいた、様に見えた
次の日、私はまた走っていた
今日も遅刻しそうだったからだ
それもこれも瑞華お姉ちゃんの恋愛話が長過ぎて、気付いたら朝になっていた所為だ
琴音「昨日の夢みたいに素敵な男の人にぶつからないかなぁ」
本音駄々漏れな琴音は何時もの曲がり角に差し掛かった
途端、角の向こうから来た誰かとぶつかった
突然の事に尻餅をついてしまう琴音
「大丈夫?」
顔を上げると夢に出て来た男の人が心配そうに見下ろしていた
琴音「は、はい、大丈夫です。あの・・・好きです、結婚して下さい!」
「うん、いいよ。俺の好みにど真ん中ストライクだし、君の様な可愛らしい子に奉仕されるのも夢だったしね」
二人でアハハと笑い合う
もう頭の中はお花畑。誰も二人の邪魔なんて出来ない
誰もが羨むベストカップル
瑞華「そうして琴音は私より先に・・・私より先に結婚して、今ではお屋敷のメイドとして張り切っているとの事です」
終わり
スタッフロールが流れ、バックでは妙に高音が利いたEDテーマが歌われている
遼亮はさっきと同じ位頭を抱え、斎は得も言われぬ表情でソレを眺めていた
短過ぎるだろとか、ツッコミ所が多いとかそういうのは最早頭に無かった
取り敢えず誰が得するんだと、開けられないまま放置されている封筒に向かって視線が注がれた
第五十四話
「プレイ時間約8分」
完