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―――本人に全く悪気が無いのがまた困り者である。

 

最後にFinの文字が現れてゲームが終了した

斎は静かにゲームの電源を落とすと、微妙な表情でこちらに向いて言った

 

斎「何ですか、コレ?」

 

若干後半のアクセントが↑寄りだったのは動揺していたからだろう

多分、いや恐らくきっとそうだ

 

遼亮「俺にも分からん。というか分かりたくもない」

 

ここで生きてくるのが開けられないまま放置されていた封筒である

億劫な手つきで封を開けると、意外にもシンプルな便箋だった

そしてそこに書いてある文章は一目で誰が書いたか分かるものだった

 

遼亮「うわ、予想と違って瑞華さんだ」

 

安心な様な違う様な複雑な気持ちだった

厳密には違うけど、親と子は似るって言うし

ただし大方の期待(?)を裏切って全う至極に真面目な文章だった

 

拝啓 城戸様並びに立川様

この手紙を読んでおられるという事は、ゲームのプレイを終了したという事でしょう。

出来れば早めに警告をしたい所でしたが、お嬢様より妨害工作をされてしまい、この様な後手に回る事になりました。

ゲームの内容については色々と仰りたいとは思いますが、城戸様はもう既にご理解頂けていると思います。

そうです、本人に直接言っても無駄なのです。

ゲーム内テキストに関しましてはこちらでかなりの校正をしましたが、あまり意味が無かった様に思います。

最後に、今回は本当にお嬢様がご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。

後日、折を見てお詫びを持って伺いたいと思います。 敬具

 

遼亮「・・・・・・校正、されてたか?」

 

斎「全然気付きませんでした・・・」

 

後日、本当に瑞華さんがお詫びに来た

何処のか知らないけど高級そうな菓子折りを持って

流石に受け取らない訳にはいかなかった

 

 

第五十五話

「専属メイドは大変だ」

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