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―――今年で74歳らしい。

 

授業の終わりを告げるチャイムが鳴った

伸びをするとポキポキと骨が鳴る音がした

 

遼亮「はぁ・・・やっと終わった」

 

別にこれといって苦手な科目ではなかったが、担当の教師が厳しい人なので居眠りなんてした日には如何なる事やら

小さくあくびをしているとたっつーが声を掛けてきた

 

辰巳「なあ遼亮、これからバスケ部の見学行かないか?」

 

遼亮「はあ?藪から棒に如何した?」

 

辰巳「いやいや、なんでもバスケ部の新しいマネージャーが可愛いって噂を耳にしてな」

 

妙にいやらしい笑顔でたっつーが語る

何というか久々に変態の片鱗を見せたなコイツ

どうせホイッスルを吹く唇が艶やかでそそるとか、俺もあんな風に応援されたいなぁとか思っているに違いない

いや確実にそうだ

 

遼亮「お前の変態行動に俺を巻き込むな」

 

辰巳「ふっ、男はみな変態なのさ。そこに常識の有無は関係な・・・いだだだだ!」

 

遼亮「さり気無く懐柔しようとしてんじゃねえよ!」

 

俺のヘッドロックがたっつーの首に決まる

よし、何時もより強めにしておこう

 

辰巳「何時もより激しいですね遼亮さん、そんなに締めたら俺も出る物出て・・・ギブ!ギブ!」

 

蟹崎「ちょっとやめてよね。そんな誤解を生みそうなやり取り、他ではしないでよ?」

 

本当頼むわよ、と蟹崎さんが思いっ切り釘を刺す

確かに今のやり取りはかなりの誤解を生む可能性がある

遼亮は一瞬グッと力を入れてから放してやる

 

辰巳「ごふっ・・・あれ変だな?お花畑の向こうに遼亮の祖父ちゃんが見える・・・」

 

遼亮「祖父ちゃん、まだ死んでねえよ!」

 

というかウチの祖父ちゃん、この前トライアスロン出て完走してたし・・・

 

 

第五十六話

「トンデモ祖父ちゃん」

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