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―――その間一人蚊帳の外。

 

遼亮「ヤバい、何も思い付かない」

 

遼亮は生徒会室から帰って来てすぐに考えた

大花見大会という体で行われる桜花祭

その〆のイベントに協力を要請された訳なのだが、如何せん良いアイディアが出て来ない

花見大会とはいっても花を見て愛でる訳じゃなく、ただ単に騒ぐだけの様な気もするので静かなモノは論外だ

 

遼亮「(というか、そういう点では完璧に祭してるからな)」

 

教師から名指しで「お前、騒げよ」とまで言われる始末である

本当にこの学校は他の学校と全然違う気がする

 

辰巳「如何した遼亮、帰って来て早々悩んでるみたいだが?」

 

奈美菜「天木先輩に何か難題でも出されたの?」

 

こうなったら三人寄れば文殊の知恵だ

変態だが頭は良い辰巳と新聞部の奈美菜。この二人の知恵を貸して貰う事にしよう

 

辰巳「桜花祭の〆のイベントを任された?」

 

奈美菜「それは確かに難題かもね・・・」

 

遼亮「だろ?祭のイベントって基本的にどんな事するのか分からなくてさ」

 

因みに桜花祭は毎年金曜日にやるのが通例であり、その分夜遅くまで行われる

子供は早く家に帰って寝なさい?

大丈夫、親の世代もその祭の経験者だから理解は凄くある

というより「楽しんで来い」と背中を押される事例もある

もうこの街自体おかしいのかもしれない

 

奈美菜「去年は何やってたの?」

 

遼亮「去年は・・・・・・あれ?」

 

辰巳「一年は絶対参加って言われてたのに眠いって理由で帰っただろ。あの後蟹崎さんの相手が大変だったんだぞ」

 

蟹崎「待って、私辰巳君に何かしたの?」

 

傍で聞いていた蟹崎さんが話に入ってくる

それは有り得ない物を見る様な顔だった

 

辰巳「うん、あれは・・・えっと・・・」

 

言い淀むたっつーの代わりに隣に居た須藤が口を開いた

 

須藤「それってあれだろ?蟹崎が飲んでたジュースに何時の間にか酒が混入されてたやつ」

 

寅川「そうそう、見事に酔っ払って・・・アレ何て言やいいのかね?酒乱?」

 

天海「ウチのクラスの女子も何人か被害に遭ってたよね」

 

佐ノ口「何の話だ?なあなあ、何の話ー?・・・去年の桜花祭?俺その時寝てたわー!」

 

一人わっはっはっと笑っているが、それは無視するとして・・・

蟹崎さんの表情はどんどんと暗いモノになっていき、「え、私そんな酷い事したの?」とか呟いている

 

辰巳「恐ろしいまでのキス魔になってたもんな。・・・いや、俺は必死に羽交い絞めしてたんだけどな」

 

辰巳は己に向けられている奈美菜のジトーッとした目に気付き慌てて付け加える

事実キス魔へと変貌した蟹崎さんの標的は女子限定だったので、男子諸君は被害を被っていない

嬉しい事なのか悲しい事なのかは定かではないが、彼女の気持ち的には消し去りたい過去である事は間違いない

 

 

第六十三話

「脱線トーク」

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